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「看板に記載の金額を支払わなければいけないでしょうか」。コンビニに無断駐車をしてしまったという男性から、こんな相談が弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた。

相談者の男性は、車で外出した際、目的地の近くにコインパーキングがなかったのでコンビニに「無断駐車」をした。帰ってくると、車に貼り紙があり、「無断駐車20分以上経過のため看板に告知の通りレジにて金額をお支払いください」と書いてあった。そして看板には、無断駐車には「数万円の支払い」を求めるという記載があったのだそうだ。

男性は怖くなり、お金を支払わずにそのまま帰宅したという。「今後無断駐車は致しません」と反省を書き込んでいたが、コンビニの要求金額をそのまま払う必要があるのだろうか。大村真司弁護士に聞いた。

●実際に生じた損害であることが原則

「無断駐車は、他人の土地を不法に占拠する行為です。法律的には不法行為(民法709条)にあたり、発生した損害を請求されます」

やはり、相談者は看板に書かれたとおりの金額をコンビニに支払わなければならないということだろうか。

「そうとも限りません。損害賠償は、『実際に生じた損害』に対応したものであるのが原則です。看板に『無断駐車は●●万円』と書いてあったからと言って、その額を支払わなければならないわけではありません」

看板の通りにお金を支払う必要はないとしても、コンビニに損害を与えた分は支払わなければならないというわけだ。では、具体的にはいくら支払えばよいだろう。

「コンビニの駐車場が1区画使えない損害を算定するのは、非常に難しいでしょう。無断駐車の場合なら、たとえば、近隣の平均的な駐車料金の額でしょう。

もしくは、仮に無断駐車したのが混んでいる状態のときであれば、無断駐車のために止められなかった客の売り上げでしょうか。いずれにせよ、微々たる金額だと思います」

●迷惑をかける無断駐車はつつしむべき

「通常の契約では、契約内容が守られなかった場合に備えて、『損害賠償の予定』の合意をする場合があります。

簡単に言うと、約束を守ってくれなかったときのペナルティの金額をあらかじめ決めておこうというルールです」

コンビニの看板が「損害賠償の予定」にあたるということか。

「『損害賠償の予定』に準じて考えられそうですが、そもそも看板に気付かなかったのであれば、合意は成立していません。

また、看板を見たとしても、車をとめるだけで合意があったといえるか微妙でしょう。

さらに、合意があったと仮定しても、実際の実損をはるかに超える損害賠償は、公序良俗に反して無効です。とめていた時間などにもよりますが、数万円だと、無効になる可能性は高いでしょう。

このような回答をすると、モラルハザードをあおるような気がして気が引けますが、いくら権利者でも、不当な利益を得てよいわけではありません」

大村弁護士はこのように述べたうえで、次のように注意を促していた。

「ただし、『損害賠償を支払わなくてよい』イコール『無断駐車をしてもよい』ということではありません。お店に迷惑をかける無断駐車は、厳につつしむべきです」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
大村 真司(おおむら・しんじ)弁護士
広島弁護士会所属。日弁連消費者問題対策委員会委員、広島弁護士会消費者委員会委員、弁護士業務改革委員会副委員長、国際交流委員会副委員長、子どもの権利委員会委員
事務所名:大村法律事務所
事務所URL:http://hiroshima-lawyer.com