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第23回:デビュタント

 2013年の日本ダービー(東京・芝2400m)を制し、同年の秋には凱旋門賞(フランス・芝2400m)で4着と健闘したキズナ(牡4歳/父ディープインパクト)。そのキズナを管理する佐々木晶三調教師が、まだデビュー前ながら「女版キズナ」と評した2歳牝馬がいる。まもなく初陣を迎えるデビュタント(牝2歳/父ディープインパクト)だ。

 今年の夏から、すでにデビューへ向けて態勢を整えていたデビュタント。この若駒への評価は、当時からすこぶる高かったという。関西競馬専門紙のトラックマンが、陣営の期待のほどを口にする。

「キズナを引き合いに出しただけあって、乗り味はとてもいいようです。『軽く走っていても、高い能力を感じる』とスタッフは話しており、決して過大評価という感じではなさそうです。距離適性は『1600mがギリギリ』と見ているようで、短距離戦線での活躍が見込まれていますね」

 デビュタントは当初、7月の時点でデビュー戦の予定が決まっていた。だがその直前、同馬をアクシデントが襲う。競走馬にとって生命線とも言える、蹄(ひづめ)の状態が悪化してしまったのだ。

 これにより、デビュタントは一度放牧へ。蹄の回復を待って、10月に再入厩した。それからはたっぷりと調教を行ない、12月20日(土)の2歳新馬(阪神・芝1600m)でようやくデビューとなる。

 ただし、先述のトラックマンによると、必ずしもデビュー戦は「万全の態勢」とは言えないようだ。

「再入厩してからは、体質の弱さもあって、なかなか調子が上がってこないようです。満足のいく出来にはないものの、『時期的にそろそろデビューしないと、大きい舞台に間に合わない』と判断したとのこと。注目馬のデビュー戦ですが、陣営は『先につながる競馬をしてくれれば......』と、トーンは決して高くないですね」

 陣営にとっては、「まだ本調子にはない」というデビュー戦だが、その状態でいいレースができれば、今後の展望は大きく広がる。第一、鞍上に名手・武豊騎手を確保しているのは、この馬に対する変わらぬ期待の高さの証だろう。

 はたして、デビュタントはキズナのように飛躍できるのか。その初陣を、多くのファンが注目している。

河合力●文 text by Kawai Chikara