篠原篤、リリー・フランキーが参加した現場の模様(C)松竹ブロードキャスティング

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数多くの映画賞を受賞した「ぐるりのこと。」(08)から7年ぶりとなる、橋口亮輔監督のオリジナル脚本による長編映画「恋人たち」の撮影がこのほどクランクアップし、2015年秋にテアトル新宿ほか全国で公開されることが決定した。

本作は、松竹ブロードキャスティングによる、「作家主義」「俳優発掘」を理念としたオリジナル映画製作プロジェクトの1本。自分に関心をもたない夫と、そりが合わない義母と暮らす平凡な主婦、同性愛者で完璧主義のエリート弁護士、通り魔殺人事件によって妻を失った男、それぞれ異なる3人の“恋人たち”が織りなす物語が描かれる。

橋口監督からは、「『ぐるりのこと。』の後、すごくいろんなことがあって、自分の中にあるものを出して脚本を書くことが怖かったが、書かない方が苦しくなって書き上げた。書き終えて、初めて本物のセリフが書けたような気がして、今までで一番いい脚本だと思う」と自信のほどをうかがわせる。さらに、「今の日本が抱えていること、そして絶対にメジャー映画では拾わないであろう“人間の感情”をちゃんと拾ってあげたかった。これは僕の個人的な体験による個人的な思いではないと感じている。この映画を見た時に、『ああ、ここに自分と同じ思いがある』と思ってもらえたら、この映画がその方の支え、救いになってくれるかもしれない。そうすれば僕がこの映画を作ったかいがあると思う」と話す。

クランクアップを目前に控えた12月中旬、都内で行われた撮影には、主人公アツシを演じる篠原篤、「ぐるりのこと。」でブルーリボン賞最優秀新人賞を受賞したリリー・フランキーが参加。ワークショップで橋口監督と出会ったという篠原は、「監督が『アツシは僕です。あなたとは年齢も、生きてきた道も違うけども、どこかですり合わせて実感を持って、そして自分の力以上のことを出してほしい』とクランクイン前から言ってくれた」と演じることのプレッシャーと喜びを語った。リリーは、「橋口監督の水準はとても高く、また、監督自身の私小説的なところもあるので、監督からOKの声を聞いた後でも『監督の思いに近づけているだろうか?』と思ってしまう」と、久しぶりの橋口作品の現場で感じた思いを述べた。

屋外の寒空の下、本番前に篠原とリリー、橋口監督で撮影シーンの二人の人物像が細かく作り上げられていく様が見られ、併せてカメラとエキストラの動きを含めてリハーサルが何度も繰り返されて本番となった。主人公に自身を投影させ、一番いい脚本が書けたという橋口監督の作家主義と、若い俳優の掛けあわせでどんな作品に仕上がるのか、本プロジェクトの挑戦とともに注目される。

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