「神々のたそがれ」の一場面

写真拡大

アンドレイ・タルコフスキー監督の代表作「ストーカー」の原作者ストルガツキー兄弟のSF小説を、ロシアの巨匠アレクセイ・ゲルマン監督が映画化し、遺作となった「神々のたそがれ」予告編が公開された。哲学者ウンベルト・エーコに「アレクセイ・ゲルマンに比べればタランティーノの映画は、ただのディズニー映画だ」と言わしめた、人間社会に対する深遠な思想の一端を垣間見ることができる映像だ。

ゲルマン監督は、ストルガツキー兄弟が1964年に発表した「神様はつらい」刊行直後に映画化を考え始め、68年には脚本第一稿を書き上げていた。しかし同年8月に起きた「チェコ事件」により企画は中断。その後政治的混乱を乗り越え、約35年後の2000年に撮影に着手、異星都市のあらゆる細部に注意を払い、06年にすべての素材を撮り終えたが、仕上げの直前の13年にゲルマン監督は急逝し、脚本家の妻のスべトラーナ・カルマリータと息子で映画監督のアレクセイ・ゲルマンJr.が完成させた。

小説「薔薇の名前」で知られる哲学者ウンベルト・エーコは本作を「まさにわれわれのことを、われわれに起こり得るかもしれないことを描いた映画」と評している。映画を完成させたゲルマンJr.は、「反商業主義の映画の頂点に立つ作品である。この映画の製作者たちは、たったひとつの妥協も許さなかった。均質化した、無表情な現代商業映画への挑戦状である」と説明している。

地球から800年ほど遅れた発展を遂げた惑星の都市アルカナルが舞台。調査のため、地球から派遣されたドン・ルマータは、未来から知識と力を持って現れた神のごとき存在として惑星の人々から崇められている。しかし、地球人による政治介入は許されず、ただただ権力者たちによって繰り広げられる蛮行を傍観することしかできなかった。

「神々のたそがれ」は2015年3月中旬渋谷ユーロスペースほか全国順次公開。

■関連記事
【動画】「神々のたそがれ」予告編
アレクセイ・ゲルマン人物情報
名匠O・イオセリアーニ、タルコフスキーとの交流秘話明かす
「ソラリス」のスタニスワフ・レム、死去
科学者や作家、映画監督が選んだ「SF映画ベスト100」