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「会社に妊娠を告げた2カ月後、突然解雇された」。元会社員の中国人女性(31)が12月19日、東京都内のカバン会社に対して、解雇の無効と賃金等273万円の支払いを求める訴えを、東京地裁に起こした。

原告の何尭(カ・ギョウ)さんは同日、弁護士らと厚生労働省で記者会見を開いた。

「外国人として日本の企業で働くために、『人の倍以上努力しないと』と思って、休みもあまり取らず、病気のときでも働いた。解雇後は毎日のように泣いて、心療内科も受診した。不安な気持ちは今も続いている」

何さんは、日本語でハッキリと語った。

●「解雇理由」に全く心当たりなし

何さんは2004年4月に来日。大学などに通った後、2011年7月から東京都内のカバン製造・卸売り会社で、製造管理や営業サポートの仕事をしてきた。社員とパートを会わせて30人に満たない会社だが、社内の雰囲気は良く、何さんも仕事にやりがいを感じていたという。

しかし今年6月、何さんが妊娠3カ月だと社長に告げたところ、社内の雲行きが怪しくなった。そして8月に突然、社長から9月末付けでの解雇を言い渡されたという。「協調性が無く、注意および指導しても改善の見込みがない」「会社の社員としての適格性がない」。そのような理由を根拠に「就業規則に基づき解雇する」と告げられた。

こうした解雇理由に、何さんは全く心当たりがなかった。勤務態度を改めるよう注意・指導されたことはなかった。また、就業規則も現在に至るまで見たことがなく、上司に聞いても「知らない」と言われたという。

この点について、何さんの代理人の加藤桂子弁護士は「そもそも妊娠を理由に解雇することはできない。仮に解雇理由がそれ以外だとしても、これまで何さんは注意や指導を受けてもいないどころか、順調に昇給を受けていた。解雇は理由がなく、無効だ」と指摘した。

●上海の展示会では、社長の通訳をつとめた

何さんは仕事にやりがいを感じていたため、出産直前まで働き、出産後も復職したいと考えていた。解雇されなければ、来年3月に永住資格の申請をする予定だったという。

「妊娠を報告する前までは社長と仲が良く、上海でカバンの展示会があったときは、社長の通訳として同伴した。昇給もして、他の社員にも能力を認められていたと思う。解雇はどう考えても納得できない。裁判の『正義の力』で、働く権利を認めてほしい」

このように、何さんは訴えかけていた。

(弁護士ドットコムニュース)