ハビエル・アギーレ監督

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12月15日、来年1月のアジアカップに臨む日本代表メンバーが発表された。これまでアギーレ監督が招集したメンバーからのみの選出。天皇杯で好調ぶりをアピールしたG大阪の宇佐美は選外、得点王の大久保も漏れ、2位の浦和からの西川だけが選出、9位のFC東京からは3人が選ばれ、さらにまだ代表経験の無い昌子を残すなど、アギーレ監督は自分流のチーム作りを貫いている。

百戦錬磨の監督らしく、記者会見では肝心の所をぼかすこともある。決勝までの想定についても「先にストーリーを作るとうまくいかないから」とはぐらかした。ところが一転、饒舌に語ったのは選手選考の基準について。監督は厳しい顔を崩さず、自信満々に質問に答えた。

「(GK以外は)複数のポジションをこなせる選手を選んだ。だからさまざまなフォーメーションでプレーできる。チームの基本的な形は4-3-3、そこから攻撃的に3-4-3、守備の時は4-1-4-1。重要なのはシステムではなく、そのシステムにいる選手たち。(アジアカップを終えるまでの)長い合宿で、様々な形で攻撃と守備ができるようにしたい。試合の途中でシステムを変えることもある」

複数のポジションをこなせるポリバレントな選手を選考したと監督は強調する。ところが、この選考基準から1人だけ外れる選手がいた。FWの豊田だ。豊田はCF中のCF。右サイドを駆け上がったり、中盤で攻守をつなぐプレーをする選手ではない。ゴール前で構え、ハイボールを競り、足下にボールを収めて味方につなぎ、クロスへと勇敢に飛び込むプレーヤーなのだ。

このポジションには皆川、ハーフナー・マイクなども招集されたものの、アギーレ監督は最後に豊田を選び、しかも例外的な扱いとしている。

チームの核が本田や岡崎などであることは、これまでの招集実績から間違いないだろう。だが豊田こそ、アギーレ監督が望むチームに必ず必要とされるピースではないのか。一時は得点王争いのトップに並んでいたものの、最後は栄冠に届かなかった。だが、最終節の鹿島戦では試合後に脱水症状を起こし、救急車で運ばれたほど献身的なプレーを見せる男がアギーレ監督の期待を集めても不思議なことではない。

【アジア杯2015日本代表メンバー】
GK:川島、東口、西川
DF:長友、森重、太田、内田、吉田、塩谷、酒井高、昌子
MF:遠藤、今野、長谷部、香川、清武、柴崎
FW:豊田、岡崎、本田、小林、乾、武藤

【取材・文/日本蹴球合同会社 森雅史】