中国人にとって、日本は「よい方面でも悪い方面」でも関心の高い国のひとつだ。日中関係が相当に悪化した場合は「日本を評価する話題」が減少する傾向がある。当局の意向が反映される可能性が高い。半年ほど前ごろから、日本についての「よい話題」が増加中であるように見受けられる。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国人にとって、日本は「よい方面でも悪い方面」でも関心の高い国のひとつだ。日中関係が相当に悪化した場合は「日本を評価する話題」が減少する傾向がある。当局の意向が反映される可能性が高い。

 半年ほど前ごろから、日本についての「よい話題」が増加中であるように見受けられる。中国共産党機関紙のひとつ、光明日報系のニュースサイト「光明時報」は11日、日本を訪れ日本の友人宅に泊めてもらったという中国人の文章を「海外見聞」の見出しを添えて掲載した。

 筆者の中国人は、中国に留学していた日本人と知り合い、友人になった。日本人の友人が帰国後も連絡を取り合い、電話で話すこともあるという。

 筆者はこのたび日本を訪れ、友人宅に泊めてもらった。友人は一家をあげての大歓迎だった。筆者によると「ガイドまでしてくれる友達がいれば、本当に楽しいのはもちろんだ」という。おかげで、日本滞在を大いに楽しむことができた。

 友人には小学生の子どもがいた。ある日、家の中でその子が何か作業をしている。尋ねてみると、「学校の『ごみ勉強の授業』の宿題で、古い紙で何かを作る宿題」との説明だった。

 筆者は「今の日本の小学校や中学校では、ごみについても学ぶことになっている。何が『ごみ』で、何が『ごみでない』かを生徒に教える。リサイクルについても教える」と紹介。各学校で「ごみ授業」のための教室、教材なども整備されていると紹介。

 筆者は友人の子どもに「私もごみ授業に出席してみたい。できないかな」と言ってみた。すると「ごみ授業が公開だから、お父さんが来る子もいれば、近所の人も来ている」との答えが返ってきた。筆者は迷わず、自分も出席することにした。

 教室では先生が、ごみの再利用のスライドを見せたり、講義をしたり、子どもが作った「ごみの再利用品」を見せて説明したりした。

 先生が「次回は、ごみ処理場を見学に行きます」と宣言して、授業は終わった。

 学校から友人宅に戻る道すがら、筆者は「感慨無量だった」という。「そういうことだったのか。環境保護の意識を、子どもの時から身につけさせるのか」、「こういう方法は、われわれも学ぶ値打ちがあるぞ」としきりに思ったという。

 筆者は「ごみ授業」の件に接する前から「日本は環境保護に成功した国」との認識しており、さらに「しかし、日本はどのようにして環境保護に成功したのだろう」との疑問があったからこそ、「そういうことだったのか」と心のなかでつぶやいたと考えられる。

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◆解説◆
 筆者は小学校における「公開ごみ授業」を、日本全国で実施されているように紹介したが、実際には自治体ごとの取り組みのひとつと考えられる。

 中国人に限ったことではないが、外国について、一部の地域にあてはまることを「その国全体の状況」と誤解することは、珍しくない。

 例えば、日本人の多くは「中国人がよく飲むお茶はウーロン茶、よく飲む酒は紹興酒」と思っているが、中国でもともとウーロン茶を飲んでいたのは、福建省などの一部の地域。多くの地域では、日本とは製法が異なるが緑茶を飲んでいる。紹興酒は「黄酒(ホワンヂウ)」と呼ばれる醸造酒の一種だが、中国で「黄酒」が好んで飲む人が集中しているのは上海、浙江、江蘇、福建などの地域で、その他の地域では「白酒(バイヂウ)」という強烈な蒸留酒が飲まれてきた。

 1980年代の話だが、北京の「一流ホテル」のレストラン従業員が、日本からの団体客が来るたびに「ウーロン茶はないか?」と注文するので、「日本茶とはすなわち、ウーロン茶だ」と思い込んでいた。北京では伝統的に、緑茶にジャスミンの花びらなどを加えた、いわゆる「ジャスミン茶」などが好まれ、ウーロン茶は当時の北京人には「あまりなじみのない茶」だったことによる誤解だった。