7部門ノミネートのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(15年春公開)/[c] 2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

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現地時間12月11日に、アカデミー賞の前哨戦ともいえるゴールデングローブ賞(以下、GG賞)のノミネート発表が行われた。

【写真を見る】アンジェリーナ・ジョリー監督作『Unbroken(原題)』は意外にも総スカン!/写真:SPLASH/アフロ

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(15年春公開)が下馬評通り最多の7部門でノミネートされその強さを見せつけたが、今年も多くのサプライズノミネートもあれば、予想外の落選もあった。そのサプライズノミネートと“逆サプライズ”組を、米FOXニュース、huffingtonpost誌、NYデイリー・ニュース紙、Usウィークリー誌、deadline.com、バラエティ誌、米テレビのエンタテインメント・トゥナイトなどの情報をもとにまとめてみた。

今回、逆サプライズ組としてどのメディアも大きく取り上げているのは、アンジェリーナ・ジョリー監督作『Unbroken(原題)』だ。同賞のノミネーションを選出する外国人記者クラブのメンバーは、“大のスター好き”といわれ、『ツーリスト』(11)が作品賞及び、ジョニー・デップとアンジェリーナ・ジョリーがそれぞれ主演男優賞と主演女優賞に選ばれたことが、驚きをもって伝えられたのは記憶に新しい。一方で、オスカー候補作(者)が総スカンを食らうこともあり、コーエン兄弟監督作『トゥルー・グリット』(11)は選出されなかった経緯がある。

アンジェリーナは、過去にテレビシリーズ「ジョージ・ウォレス/アラバマの反逆者」(97)と「ジーア/悲劇の友人」(98)でGG賞助演女優賞と主演女優賞、そして『17歳のカルテ』(99)で助演女優賞を受賞した実績があり、さらに女優としてはノミネート歴3回、監督デビュー作『最愛の大地』(11)ではなぜか外国語映画賞にノミネートされるという事態が起こったため、記者クラブのアンジー好きは有名な話として知られている。そして、『Unbroken』は早くからオスカー候補作としてあがっており、今度こそ「記者クラブが正当に選んだ」と評価されるはずの作品であった。しかし、そのアンジェリーナ監督作品が、作品賞及び、監督賞、主演男優賞(ジャック・オコンネル)、助演男優賞(MIYAVI)、そしてコーエン兄弟らが執筆した脚本賞で総スカンを食らい、まさに今回最大の逆サプライズ組となった。

『Unbroken』は、前日に発表された、俳優など同業者が選ぶ第21回全米俳優組合賞からも総スカンを食らうサプライズを受けており、これまでの下馬評を出してきた映画批評家たちと違って、同業者からはあまり評価を受けていないのではないかといわれ始めている。

ほかには、SF嫌いのアカデミー会員にはなかなか受け入れられないものの、実力と人気は折り紙付きのクリストファー・ノーラン監督作『インターステラー』(14)は、音楽賞でアカデミー受賞者のハンス・ジマーがノミネートされているのみ。クリント・イーストウッド監督作『アメリカン・スナイパー』(15年2月公開)も全滅。立て続けにオスカー候補になっていた同作主演のブラッドリー・クーパーは、全米俳優組合賞でも主演男優賞の席をジェイク・ギレンホール(『Nightcrawler(原題)』)に奪われ、10席の中にも残らなかった。

また『The Gambler(原題)』、『Top Five(原題)』が総スカンだったことや、これまで各賞でサプライズ受賞してきた『サンドラの週末』(15年5月公開)のマリオン・コティヤールの名が不在なこと、スター好きの記者クラブが、『フューリー』(14)のブラッド・ピットを選ばなかったことも驚きをもって伝えられている。

逆に、全米映画組合賞で総スカンを食らったエヴァ・デュヴルネ監督作『Selma(原題)』が、監督賞、作品賞、主演男優賞にノミネートされる快挙となった。ほかに、『ハッシュパピー バスタブ島の少女』(12)で史上最年少となる9歳でオスカーにノミネートされたクヮヴェンジャネ・ウォレスが、再び『ANNIE/アニー』(15年1月24日公開)で主演女優賞にノミネートされたこと、全米俳優組合協会賞のアンサンブル賞にノミネートされた『グランド・ブダペスト・ホテル』(14)が、作品賞と監督賞にノミネートされて快進撃を続けていることもあげられている。

また、大作を押しのけて、14年ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワードで作品賞を含む3部門を受賞した話題作『パレードへようこそ』(15年4月公開)、『St. Vincent(原題)』が作品賞に選ばれていること、ジュリアン・ムーアが『アリスのままで』(15年6月公開)と『マップ・トゥー・ザ・スター』(14)で、ドラマ部門及びミュージカル/コメディ部門で主演女優賞にダブルノミネートされていることもサプライズとして伝えられている。

一方で、NYデイリー・ニュース紙は、「まだまだ激戦状態の中で、アンジェリーナ監督作が総スカンを食らったこと以外、サプライズは少なかった」と伝えているが、今回の結果がどこまでアカデミー賞に影響を与えるのか、結果が楽しみだ。

なお、第72回ゴールデングローブ賞の授賞式 は、3年連続となるティナ・フェイとエイミー・ポーラーの司会で、15年1月11日にザ・ビバリー・ヒルトン・ホテルで開催される。【NY在住/JUNKO】