シーズン中は巨人、阪神の影を踏めなかったばかりか、コイの尻尾にさえ手が届かなかった中日ドラゴンズ。スポーツ紙の話題になることもめったになかったが、ここにきて因縁の“落合vs清原”再戦が勃発、球界の主役に躍り出ようとしている。
 地元テレビ局スタッフがその内実を明かす。
 「イージス艦のように鉄壁な防御を固めてきた落合博満GMの管理術に、ほころびが出てきた。わずかな亀裂程度に映るが、これがどんどん大きくなっているのです。選手側の声を聞いてくれない落合GMに対抗すべく、立浪監督擁立の動きがかまびすしい。しかも強力な援護射撃をしているのが、PL学園の先輩で落合GMとは犬猿の仲の清原和博氏。これまではアンタッチャブルとばかり静観していた中日ナインや球団関係者が、落合GM憎しで清原氏擁護に回り、炎上しているのです」

 両氏の因縁は、本誌昨年11/7号『番長・清原和博 独占インタビュー』の中で、落合GM-谷繁選手兼任監督体制に決まったことに対し、清原氏が「ふざけてるわ! 監督は立浪がならんとアカンでしょ。立浪の存在っていうのは巨人で言うたら原さんや。なのに落合さんがずっと邪魔し続けてるんや」「そういえば終身GMなんて報道もあったらしいな。一生、立浪を監督にさせない気かよ!」などと怒りをぶちまけたことが発端になったといわれている。
 ところが落合氏がGMに就任した昨年来、契約更改交渉で球団の決定に楯突く選手は一人もいなかった。象徴的だったのは、チームの支柱ともいえる井端弘和内野手の年俸を2億5000万円から一気に88%ダウンの3000万円で提示し、井端が「冗談じゃない」と拒むや否や「じゃ、辞めてもらう」と、トドメのパンチを放ち、退団に追い込んだ“見せしめ更改”だ。
 チームの功労者、しかも監督時代の落合氏に最もかわいがられていた井端にこの仕打ち。この一件で主導権を握った落合GMは、昨オフは8億円ものコストカットに成功。「減俸拒否」→「解雇」の構図が暗黙の了解となり、「ノー」を口にする選手は一人として現れなかった。

 この流れは今オフも続いた。落合GMが最初の更改交渉相手に選んだのが谷繁元信監督。早速、選手として4000万円のダウンを提示し、9000万円でサインさせた。監督を最初に料理したことで、ケガで後半戦列を離れた和田一浩外野手は5000万円、30セーブに届かなかった岩瀬仁紀投手も7000万円、それぞれ減俸してサイン。
 子飼いの荒木雅博内野手、森野将彦内野手こそアップさせたが、それも800万円と500万円。大きく削って小さく返す基本方針は変わらなかった。

 そんな中で11月22日、敢然と反旗を翻したのが平田良介、大島洋平の両外野手。平田は大阪桐蔭高時代の夏の甲子園で清原和博氏(PL学園)以来の1試合3本塁打を放ち、中日にドラフト1位入団したスター候補生。大島は地元享栄高出身で駒大、社会人の日本生命で首位打者を獲得し、監督時代の落合氏が「外野守備は大島」と絶賛した地元選手である。
 今季、大島は3割1分8厘の打率を残し、ゴールデングラブ賞も獲得、球団最多安打タイの186安打を記録したというのに1775万円増の7400万円の提示。平田も打率2割7分7厘、11本塁打、開幕4番も務めたのに1200万円増の4700万円。あまりにも低い球団の評価にサインを保留したのだ。