人間も食べられる鹿せんべい「鹿煎流 せんべい人間専用」

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奈良公園で鹿とのふれあい用に売られている鹿せんべい。 購入した瞬間から鹿がわらわらと寄ってきて、気付いたら鹿の大群に取り囲まれていた! という恐怖体験をした人も多いのではないだろうか。

それにしてもこの鹿せんべい、鹿たちのあまりにも必死な様子にそんなにおいしいものなのだろうか? と、奈良を訪れるたび味見してみたい誘惑に駆られる。炭酸せんべいに似た素朴な見た目だし……。しかし、鹿せんべいは米ぬか、雑穀などでできており、人間にとって決しておいしいものではないという情報もある。

ところが先日奈良にいった際に、「鹿せんべいを思う存分、ばりばり食べてみたい!」というひそかな願望を叶えるおみやげを発見。正式名称は「鹿煎流 せんべい人間専用」といい、鹿が悲しそうに泣いているメインビジュアルに思わず目が釘付けに……。

箱には「人間専用」と大きくあしらわれ、「鹿には絶対あげないでください」という注意書きもある。お召し上がり作法として「1. もらう時は、おじぎをしてもらいましょう」「2. 鹿の食べ方をマネしないでください」とある。袋を開けてみると、実際の鹿せんべいよりはやや小さめの、ひとくちサイズのせんべいであった。サクサクと軽い食べごたえでほのかに甘く、まさに「鹿せんべいってこんな味がするのでは?」と子どもの頃、脳内で思い描いていた通りの味だった……。

販売元である「イヒカ」に問い合わせてみたところ、実はこれ、奈良で観光バス 事業を営む2代目社長が個人事業としてはじめたもの。奈良で生まれ育った代表の佐原氏は、子どもの頃から「人間も食べられる鹿せんべいがあったらいいのに」とずっと思っていたらしい。大人になって、食品流通に携わる友人に「こんなこと考えてるんだけど、できないかな?」と話したことがきっかけとなり、 長年の漠然としたアイデアがかたちになった、というわけ。ちなみに、「鹿せんべい」という名称はすでに商標登録されているので、「鹿煎流 せんべい人間専用」なる商品名になったという経緯も。

なお、「鹿煎流 せんべい人間専用」は約3年前に発売した商品で、今のところ近鉄奈良駅構内や周辺のお土産屋さんで販売されているが、まだ一般にはあまり知られていないらしい。
ちなみに、このせんべいが「イヒカ」としての商品第一弾で、ほかに「大和神伝」という橿原神宮ゆかりの神武天皇をキャラクター化した「大和神伝葛 ボーロ」というお菓子も発売しているそう(ビックリマンチョコ世代にはたまらない、グリーンハウスによるキャラクターデザイン)。今後は、奈良ゆかりの大和茶を、修学旅行生などにもっと気軽に手にとってもらえるお土産なんかも考えているそうだ。

そんなわけで、鹿になった気分が味わえるおもしろ土産、「鹿煎流 せんべい人間専用」。鹿のふんなどをモチーフにしたお土産は昔からあったものの、人間 専用鹿せんべいというのはありそうでなかった発想かも!? 今後、皆に愛される奈良土産として定着していくことができるのか? なりゆきを見守っていきたいと思います。
(まめこ)