厳選!2歳馬情報局
第18回:ラヴィダフェリース

 6月7日からスタートした今年の2歳戦線。来年のクラシックに向けて、これまでに多数の期待馬がデビューしてきたが、これからデビューを控える若駒の中にも、まだまだ注目の逸材は潜んでいる。その一頭が、栗東トレーニングセンター(滋賀県)の池江泰寿厩舎に所属する、ラヴィダフェリース(牡2歳/父ディープインパクト)だ。

 ラヴィダフェリースがにわかに脚光を浴びたのは、10月30日に栗東トレセンで行なわれた調教でのこと。同馬にとっては初めての、本格的な追い切りだった。にもかかわらず、ウッドチップコース(粉砕された木片を敷きつめた馬場)で、調教距離としてはやや長めな1200mをきっちりと走り切った。しかも、最後の200mを12秒5という好タイムでまとめたのである。さらに、デビュー前の期待馬ロードユアソング(牡2歳/父ディープインパクト)や、年上のマハロチケット(牡3歳/父キングカメハメハ)と一緒に走って、それぞれに先着して見せたのだ。

 ラヴィダフェリースがトレセンへと入厩する前、同馬の育成を行なっていたのは、ノーザンファーム空港牧場(北海道苫小牧市)。同牧場の並木芳和氏は、この若駒の印象をこう語る。

「しなやかで伸びのあるフォームが特徴的で、その動きには将来性を感じました。いかにも軽い芝が向いていそうなタイプで、育成の段階からバネの良さがありましたね。乗ってみると背中の感触も柔らかくて、いい馬体の持ち主だと思いました」

 ラヴィダフェリースは、7月下旬の段階で早くもゲート試験に合格した。しかしその後は、すぐにデビューしないで、一旦放牧へ。再度ノーザンファームの施設で、10月までじっくりと乗り込んだ。その調整過程について、並木氏はこう説明する。

「この馬は、サラブレッドとしてはかなりの遅生まれ(5月22日生)。そのため、ゲート試験を受けた頃もまだ体が緩かったので、当初考えていたとおり、再びノーザンファームに戻しました。そこで調教を積むうちに、少しずつ良化してきましたね。とはいえ、本当に芯が入ってくるのは、まだ先。レースを使いながら完成していくと思います」

 1月からサラブレッドの出産シーズンが始まる日本において、5月22日生まれというのは、かなり遅い部類。生まれた時期によって生じる数カ月の成長ハンデは、年齢とともに少しずつ解消されていくが、まだ若い2〜3歳のうちはその差が残るとされている。これらのことからも、並木氏は「ラヴィダフェリースは2歳よりは3歳、3歳よりは古馬になってから、力を見せてくれるタイプ」だという。

 そうは言っても、遅生まれのハンデを克服して、早い時期から活躍する馬もいる。例えば、イスラボニータ(牡3歳/父フジキセキ)。5月21日という遅生まれながら、早々に頭角を現して、今年4月の皐月賞(4月20日/中山・芝2000m)を制覇。先日の天皇賞・秋(11月2日/東京・芝2000m)でも、3歳馬ながら3着と健闘した。また、2012年のダービー馬ディープブリランテも、5月8日と遅生まれだった。

 もちろん、デビュー前の段階でこうした再現を望むのは酷な話だろう。だが、すでに調教で好タイムを出しているラヴィダフェリースなら、ある程度早いうちから活躍できるかもしれない。

 気になるデビュー戦については、11月15日の2歳新馬(京都・芝1800m)が最短の候補として挙げられている様子。遅生まれの素質馬がどんな走りを見せてくれるのか、期待せずにはいられない。

河合力●文 text by Kawai Chikara