ヤンキース・田中将大【写真:田口有史】

MLB公式サイトが特集で来季を占う

 右肘靭帯部分断裂のリハビリを乗り越え、今季終盤戦にマウンドに戻ったヤンキース田中将大投手は、2015年シーズンに完全な状態で臨むことができるのか。ファンにとって最大の関心事となっているテーマについて、MLB公式サイトが特集で占っている。

「田中将大の腕の状態は、ヤンキースにとってどこまでの懸案事項なのか? 最後の先発2試合は彼の将来を知るために本当に十分な材料だったのか?」

 ヤンキースファンから届いたこの質問に対して、公式サイトの番記者ブライアン・ホック氏は以下のように答えている。

「現時点でヤンキースは、田中が前半戦に見せたピッチングに戻るだろうという想定の下でリハビリ計画を進めている。田中は日本に戻り、2015年に32試合に先発する負荷に十分耐えうる健康体に戻れるという期待を込めて、オフに右肘をさらに休めている」

 メジャーデビューイヤーで13勝5敗、防御率2・77という好成績を残した田中とヤンキースの現状について、ホック記者はこのように説明。さらに、7月8日のインディアンス戦で右肘痛を訴えて故障者リスト(DL)入りした後、リハビリを乗り越えた田中が9月に見せたピッチングについて、さらに考察を加えている。

手術回避は正しい選択だった?

 田中は9月21日の本拠地ブルージェーズ戦で復帰し、5回1/3を投げて1失点の好投で勝ち投手となった。しかし、同27日のレッドソックス戦は、いずれもプロ入り後ワーストタイとなる1回2/3で7失点という結果に終わっている。
 
「田中の9月の2試合の先発は、彼の肘の状態が危機的状態に陥らなかったという事実以外、さほど重要ではない。彼はある種の違和感を隠すことはできなかったが、同時にトレードマークの切れ味鋭いスプリットも何球か投げることができた」

 ホック記者は、ヤンキース首脳陣が来季以降の光明と見ている2試合の内容自体には、2015年のパフォーマンスを示唆するものはなかったと指摘している。

 また、同記者はチームと田中の“決断”についても評価。靭帯自体は自然治癒しないため、完治には自分の腱を移植し、靭帯を再建する通称トミー・ジョン手術が必要という声もあった。しかし、チームドクターら専門家の診断で保存療法を選択している。

「どこかの段階でトミー・ジョン手術が必要になる可能性は依然として残されている。しかし、4人の専門家による診断は正しい選択だったように思う」

 田中がキャリアのどこかで手術に踏み切る必要性は存在するが、現時点で順調な回復を見せていることを評価している。

万全ならばサイ・ヤング賞の可能性も

 もっとも、首脳陣は再発の恐怖を捨て切れていない。ジョー・ジラルディ監督は「田中のケガは、いまだにスプリングキャンプにおける最大の恐怖だ」と言及。ラリー・ロスチャイルド投手コーチも「5年経過までは靭帯の裂け目がどのような影響を及ぼすかは予想できない」と話しているという。

 田中と7年総額1億5500万ドル(約178億円)という大型契約を結んだヤンキースにとって、田中が長期間、コンスタントに活躍できるかどうかは重要なポイントとなるが、ロスチャイルド投手コーチは「しばらくの間、彼が(手術せずに)切り抜けられる可能性はある」とも語っているという。

 約2か月半の離脱が響き、田中は新人王の最終候補3人に入らなかったが、前半戦の鮮烈な活躍でその実力は証明済みだ。右肘が万全の状態ならば、来季はサイ・ヤング賞獲得の可能性もあるだけに、ファンの間には期待と不安が入り交じっているようだ。