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第17回:タッチングスピーチ

 今や、世界中からさまざまな血統のサラブレッドが集結している日本競馬。そんな中、ヨーロッパの競馬ファンも熱い視線を送る良血馬が、デビューを間近に控えている。栗東トレーニングセンター(滋賀県)の石坂正厩舎に所属する、タッチングスピーチ(牝2歳/父ディープインパクト)だ。

 タッチングスピーチの母は、リッスン(父サドラーズウェルズ)。2007年にイギリスの2歳GIフィリーズマイル(芝約1600m)を制した血統馬である。また、リッスンの姉であるセコイヤ(父サドラーズウェルズ)も、アイルランドのGIを制覇。その産駒からは、ヨーロッパのGIを4勝したヘンリーザナビゲーター(父キングマンボ)が出ている。つまり、タッチングスピーチは、ヨーロッパを代表する"名家"の出身なのだ。

 この血統がいかに注目されているか、それを知る出来事が今夏のセレクトセールであった。

 日本最大級の競走馬セリ市であるセレクトセールには、毎年、各牧場の良血馬が登場する。そこに今年は、タッチングスピーチの弟(父ディープインパクト)が上場された。そして、この若駒についた落札額が、なんと2億6000万円だったのだ。落札者は、カタールのシェイク・ファハド殿下。改めて、この血統の世界的価値を認識させた。

 全弟の話題が競馬界を駆けめぐる中、姉もデビューに向けて着々と準備を進めてきた。10月10日にゲート試験に合格すると、その後は初陣に向けて、コンスタントに追い切りを消化していった。その様子を見守ってきた関西競馬専門紙のトラックマンが語る。

「陣営によれば、牧場では少しうるさい面を見せていたようですが、トレセンに来てからは落ち着いているとのこと。『トラブルもなく、調整できている』という話を聞いています。もちろん陣営は、血統面からの期待も大きく、馬体の作りや、そこから伝わってくる雰囲気には、能力の一端を感じているようです」

 タッチングスピーチは、11月9日(日)の2歳新馬(京都・芝1600m)でデビュー予定。鞍上は、牝馬GIを多数獲得している福永祐一騎手が務めるとのことだ。

 気になるのは、デビューが迫り、調教ではそれなりの内容が求められるが、この点に関して「陣営の評価が渋い」ということ。前述のトラックマンが語る。

「調教のタイムが期待するほどではなく、陣営としてはそこに物足りなさを感じているようです。『将来的には期待はしているけど、デビュー戦からいきなり勝つというのは難しいかもしれない』という話も出ています。注目度の高い馬ではありますが、長い目で見ていくのがいいかもしれませんね」

 とはいえ、調教で走らなくても、レースに行ってガラッと変わる馬はいる。良血馬であれば、なおさらである。世界的な血統馬がどんな走りを見せるのか、注目の初戦をしっかりと見届けたい。

河合力●文 text by Kawai Chikara