『ナースのお仕事』はリアルな医療現場を反映、関係者から賞賛の声

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去る10月30日・11月1日の二夜連続で放送された特別ドラマ『ナースのお仕事』(フジテレビ系)について、放送終了後の現在、おもわぬところから賞賛の声が相次いでいる。

特番を含め、最後の放送からおよそ12年の時が経過したこの作品、これだけの歳月を経ても変わらず、むしろその魅力が増している主演の観月ありさ松下由樹、伊藤かずえといった豪華な顔ぶれが織り成すその好演ぶりに、一般視聴者からも激賞の声が相次いでいたが、そうした中でこのドラマを観た医療関係者からは、12年という歳月の間に、医療の現場において実際にもたらされた「変化」が的確に反映され、ドラマの中でもちゃんと時間が流れている点に、現在、驚きまじりの賞賛が巻き起こっているのだ。

たとえば、観月ありさをはじめとする看護師たちの服装。第2夜で病棟を訪れた観月と入院患者との会話の中でもそれとなく触れられていたように、ワンピーススタイルの制服が中心であった12年前とは違い、「仕事がしやすいように」という観点から、現在のリアルな現場においては、パンツルックが中心。また、その足元に目をやると、かつてはサンダル履きが中心であったが、現在はシューズ。これは注射針などを誤って落とした際などに発生しかねない針刺し事故を懸念して、改善された点だという。
そのほかにも、近年急速に普及し、定着するようになった電子カルテの存在や、主に入院時の環境の改善や、緊急時の迅速かつ的確な処置を行う目的などから対応が進められた6床室から4床室への変更など、一般視聴者にとってはあまり気づかない部分でありつつも、その道の人にとっては思わず「おお!」となるような、細心の注意と考証が行われていたと推測されるのだ。

時代劇などとは違い、とかく、現代社会をモチーフとした作品の多くは、こうしたちょっとした「こだわり」が、的確に反映されているかについて、厳しくチェックする視聴者はさほど多くない。しかし、そうした「一部の視聴者にしかわからない部分」について的確に表現できているかどうかは、制作にあたってどの程度、関係者がアツい想いを持ち、いかに誠実に取り組んでいるかを示す、ひとつの指標と言えるのかもしれない。

文・久保田太陽