ドルトムントがバイエルンに1−2で敗れた。これで泥沼の5連敗。試合後の選手たちは、沈痛な面持ちでピッチをあとにした。香川真司ももちろんそうで、うつむきながらの重い足取りが、事態の深刻さをうかがわせた。

 だがクロップ監督は、いくらかすっきりしているようにも見えた。これまで連敗した相手に比べれば、バイエルンに敗れるのはある意味で致し方のないこと。前節、ハノーファーにホームでまさかの敗北を喫した時には怒りで震えていたが、この日はそれほどの反応は示さなかった。そして「決して不当な敗戦ではない」と、素直に力の差を認めた。

 クロップ監督はまた、前半に関しては「最近ではベストの出来」と称えた。バイエルンが圧倒的に支配して試合を進める中で、前半31分には自分たちの特長を生かした形でカウンターから先制点が決まった。香川とのワンツーで右サイドを抜け出したオーバメヤンの快足が生かされ、走り込んだロイスは一瞬でバイエルンのDFベナティアを置き去りにした。

 前半のバイエルンは3バックの前にシャビ・アロンソを置き、さらに中盤にラームを配することで、よりポゼッションと攻撃性を高めた。自在に変化するバイエルンに対応しつつ、ドルトムントもポジションを流動的に動かしながらの守備を見せた。

 だが、苦労したのは後半だ。バイエルンが3バックから2バック気味にシフトし、より両サイドの攻撃性を高めてくると、ドルトムントは混乱をきたした。

「練習でも守備は何パターンか試しはしました。前半はシャビ・アロンソに対してチャンスがあればどんどんプレッシャーをかけて狙っていって良いと言われていたし、それがうまくはまっていたところもありました。それによって裏のスペースが空いて使われるところはありましたけど、比較的、自由にやらせずにすんだ。でも後半、相手が2センターバック気味になって、ちょっとワイドになったときに、なかなか守備の行きどころがみつからなくて苦労しました」(香川)

 クロップが「さほど良くなかった」と振り返る後半。運動量の落ちた香川を下げたその1分後に同点にされ、ほどなくして逆転された。メンバーを代えながらも相手への対応に苦しむドルトムントに対し、リベリーを投入して意図を明確にしたバイエルンが的確な試合運びを見せた。

 グアルディオラ監督は語る。

「リベリーが助けてくれた。シャビ・アロンソが抑えられたときには、ボアテングとラームが代わりにその役目を果たす必要があった。二人は良くやった」

 ドルトムントの意図を感じると、明確にそれをかわして勝利に導いたのだ。

 いくらバイエルン相手だったとはいえ、5連敗は非常事態。バイエルン戦の4日前に行なわれたドイツ杯ザンクトパウリ戦後、「なかなか苦しい日々が続いた昨季のマンチェスター・ユナイテッドを思い出すのではないか?」という質問に対して、香川はこう答えた。

「うーん、チームの質(の違い)と言ったら変ですけど、こっちのほうがより一つになれるというか、チームワークが重要視されるチームです。でも僕的には絶対、うまく流れを断ち切る手応えを感じているし、チームのために戦える選手が多いことがこのチームの良さだと思うので、心配はしてない。そのためにはやはり結果を残し続けていくことがチームとして自信を回復する上で一番必要ですし、流れに乗る上でも大事だと思います」

 バイエルン戦で先制点を演出した香川に、ビルト紙は採点2(最高点1、最低点6)と高評価を与えた。かつてのようなゴールを狙う迫力はまだないが、それでも味方の使い手として信頼され、評価を得ているというのが現状だ。ここ数年では想像もつかなかったような重苦しいムードの漂うドルトムントが回復するきっかけに、香川真司はなれるだろうか。

了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko