これが洗濯機だなんて誰も信じない

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私が小さい頃は、まだ洗濯機は2槽式が主流だった。

家の洗濯機が全自動タイプに代わったときは、「こんなに楽していいのか?」と罪悪感すらおぼえたほどの衝撃だった(笑)。ところが、それどころではない革新的な洗濯機のアイディアを発表したデザイナーがいる。

水も洗剤も使わずに衣服の汚れを落とすというのだ。水を使わないので洗濯後すぐに着ることもできるし、環境にも優しい。繰り返し洗濯しても繊維が傷まない。しかし、いったいどうやって汚れを落とすのか?

ゼリーを使うというのだ。粘着性のあるゼリーを使い、さらに振動を与えることで衣服についた汚れをゼリーに吸着させる。さらに音波(超音波か?)の振動を使ってシワを伸ばす。このプロセスにかかる時間はものの5分。乾かす時間が必要ないので、すぐに着ることができる。

衣服から取り除いたゴミは、ダストコンテナに溜まり、それを捨てるだけでいい。

デザイナーのJee Na Jun氏は、キーボードの汚れをとるゼリータイプのクリーナーを見て、このアイディアを思いついたという。水を使わないので、帽子や靴や絹製品など、ふつうの洗濯機ではむずかしいものも洗濯できる。

現在の洗濯機にとって代わり得るものか?

じっさいツッコミどころも多い。砂や泥は落ちるかもしれないが、衣服の繊維に染みこんだような汚れや雑菌を本当に落とすことができるのか? 服に毛玉ができたりしないだろうか? またゼリーについた汚れをダストコンテナに集めることが本当にできるのか? そもそも服の内側の汚れは落とせるのか?

率直にいって、すぐに実用化されるものではなく、「こんな考えかたはどう?」というアイディアを見せるコンセプトモデルだととらえていいだろう。

ただし、ゼリーで汚れを落とすという洗濯機のアイディア自体も、洗濯するモノの素材や形状によってはじゅうぶんアリだろう。衣服はともかく、金属やプラスチックなど硬質なものの汚れ落としにはいいのではないだろうか。用途を限定すれば、将来的には実際にこういう洗濯機が実用化されるかもしれない。

SF映画や未来が舞台のアニメに出てきそうな、”未来感”あふれるデザインも魅力的だ。日本の家電製品はどうも生活感を出し過ぎな気がするので、こういうところは見習ってほしい。

下の動画で、本人の解説も聞くことができる。

*出典:Electrolux -Vibrate jelly laundry- via Tuvie design of the future