iBeaconが普及すると私たちの生活は便利になるか

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iOS8がリリースされて一段落した昨今だが、iOS7の時期に投入された1つの技術を、いま振り返ってみたい。

その技術とはiBeacon。

Bluetooth4.0の一部規格として策定された低電力で通信を可能にするBluetooth Low Energy(BLE)を用いて、ユーザーの位置情報を検出するシステムだ。iBeaconモジュールにiBeaconをインストールした端末が近づくと両者のデータをクラウド上のサーバに送信、その場所、その端末に合った情報をアプリがダウンロードするなど、ワイヤレスで位置情報を生かした様々なサービスの提供を可能とする。

iBeaconの事例

一例を挙げると、海外のアップルストア店内にはこのiBeaconのモジュールがインストールされており、「AppleStore」をインストールしているiPhoneやiPadを持って売り場に入ると最新モデルの紹介、および下取りサービスの情報が表示される。

アメリカのプロ野球リーグMLBも、各スタジアムにiBeaconを導入している。「MLB.com At the Ballpark」をインストールした端末があれば本日の試合情報を教えてくれるだけではなく、入場口に近づけば購入済みのチケット情報を表示、さらに席の場所も教えてくれる。

日本国内の事例では、特定の店に来店し、特定のエリアでアプリを起動することで共通ポイントがたまり、商品券などに交換できる「スマポ」もiBeaconのシステムを用いている。現在ビックカメラやマルイ、三越、JINS、スーパーマーケット ライフなどの店舗がスマポを導入している。

あらためて記すと、iBeaconはあくまで位置情報を得るためのシステムに特化しており、各サービスはアプリとクラウドサーバーの連携で実現している。具体的には10m以上のFar、数メートルのNear、1m以内のImmediateの三段階で設定が可能で、NFCのように端末同士をタッチさせる必要がないながらもピンポイントな情報を提供できるし、iBeaconモジュールにいちいち提供したい情報をインプットする必要もない。

特典の提供や決済システムなどはアプリ側で用意しなければならないが、ゆえに自由度は高い。そこで前述したような、O2O(Online to Offline)マーケティングの分野での活用が高く期待されている。またクーポン券やスタンプラリー、宝探しゲーム、人流計測といった使い方もあるようだ。

ユーザーから見たメリット

ユーザーからしてもiBeaconを使ったサービスのメリットはある。iBeaconが普及すればショップごとに用意しなければならないポイントカードなどを持ち歩かなくて済むようになるし、クーポンなどのメリットも忘れずに享受できる。店員に聞かずとも各商品の詳細データもわかるようになる。

ポイントカードの代わりにいくつものアプリをインストールし、起動しておかねばならないといったデメリットもあるが、ユーザーの負担は確実に低減する。1つのアプリで全サービスを連携させようとすると、余計な情報も受け取ってしまう環境になるし、1アプリ1サービスの流れは大きく変わらないだろう。

ユーザーの負担は確実に低減する。

導入の簡易さが普及に拍車をかけるか

2013年9月にiBeaconがはじまってから1年と2ヶ月が経過。一般的なアプリの開発力があれば対応できるし、インフォシティの「B+POP」など、汎用型でショップごとの情報提供を可能にするiBeacon導入サービスも提供されている現在。小規模な店舗や施設を中心にiBeaconを使ったサービスが増えていくのではないだろうか。