2014年9月20日から2015年1月4日まで森美術館で開催中の「リー・ミンウェイとその関係展」。作者本人が「完成度は40%」と語る展覧会って、いったいどういうものなのだろう?

写真拡大

森美術館で「リー・ミンウェイとその関係展」が開催されている。会期は2014年9月20日から2015年1月4日まで。
リー・ミンウェイは、1964年生まれの現代アーティスト。台湾出身で現在はニューヨークで活動している。今回の展示は、彼の初めての個展になる。
「開幕の時点では、展覧会の完成度は40%」
そう語るリー・ミンウェイ。未完成品が並ぶ展示って、どういうこと?

「リー・ミンウェイとその関係展」は「観客が参加」して完成する展覧会だ。
作品は、それ自体では完成しない。だから「40%」なのだ。

たとえば「ひろがる花園」。ガーベラがずらりと並べられている。この花は「一輪だけ、自由に持ち帰っていい」。ただしひとつだけ条件がある。
「美術館からの家路で来た道とは別の道を通って、偶然出会った知らない人へこの花を贈ること」。
つまり、このガーベラそのものは、あくまでもきっかけにすぎない。
このガーベラを知らない人に渡して、そこで生まれる「つながり」が本当の展示品なのだ。森美術館から出発して、思いもかけないところまでガーベラが運ばれていくから「ひろがる」花園と称されているのだろう。

そういった作品はほかにもある。
「プロジェクト・ともに眠る」「プロジェクト・ともに食す」は、公募型のものだ。ふだん美術館の中にあるのは、2つのベッドだけ、テーブルだけ。けれど会期中、応募してきた人の中から選ばれた何人かが、リー・ミンウェイやスタッフとともに、そこで眠ったりごはんを食べたりする。
この展覧会がなければ、応募しなければ、出会うはずのなかった人たちによるコミュニケーション。リー・ミンウェイはその「関係」を展示しようとしている。

もっとも印象に残ったのは「プロジェクト・手紙をつづる」。電話ボックスより三回りくらい大きい箱の中には机があり、その上に封筒と便箋と鉛筆が置いてある。訪れた人はここで手紙を書いていいのだが、ひとつ約束がある。その手紙を持ち帰ってはダメ。美術館に置いていかなければいけない。
誰かに届けてほしい手紙であれば、スタッフが代わりに投函して送ってくれる。そうでなければ、箱の壁に手紙を置いていく(壁は手紙を挟めるようなつくりになっている)。
封をしてもいいのだが、残してある手紙はほとんどが封をしていなかった。読んでいいので読む。誰かへの感謝や展示の感想を書いている手紙もあれば、浮気の告白や人生の後悔を書いている手紙もある。
私も書いて置いてきた。

展覧会のセクションを紹介しよう。
Section 1 関係性、つながり、あいだについて考える
Section 2 歩く、食べる、眠る─日々の営みを再考する
Section 3 パーソナルな記憶から歴史、文化、社会のつながりを考える
「『関係性』を考えるための作品」のセクション(リー・ミンウェイ以外の作者の作品紹介)

トレイラー映像も公開されている。
「リーミンウェイとその関係展」
2014年9月20日〜2015年1月4日 森美術館(会期内無休)
(青柳美帆子)