厳選!2歳馬情報局
第13回:ドゥラメンテ

 牡馬一線級を相手に天皇賞・秋(1997年)を制し、「女傑」と称されたエアグルーヴ。その偉大なる名牝を母に持つアドマイヤグルーヴは、2003年、2004年と、GIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)の連覇を果たした。彼女は引退後、大きな期待を背負って繁殖牝馬となったが、2012年に急死。12歳の若さだった。

 アドマイヤグルーヴが繁殖生活の中で遺した産駒は5頭。その最後の一頭が、10月12日の2歳新馬(東京・芝1800m)でデビューを予定している。美浦トレセン(茨城県)・堀宣行厩舎所属のドゥラメンテ(牡2歳/父キングカメハメハ)である。

 育成を務めたノーザンファーム早来(北海道)の林宏樹氏は、同馬について「かなりヤンチャでした」と、まずその気性面に触れる。

「とにかく我が強くて、スタッフは苦労しましたね(笑)。普段は、暴れてもケガをしないよう、壁がゴムで覆われている馬房に入れたほどです。母のアドマイヤグルーヴもかなりヤンチャで大変でしたが、ドゥラメンテもその辺はよく似ていますね」

 ドゥラメンテの調教はほとんど林氏が行なっていたが、別のスタッフが騎乗すると、一転して悪さをすることもあったという。そういう面を見て、「頭がいい馬なんだと思います」と林氏は語った。

 母から譲り受けたのは、ヤンチャな気性だけではなかった。8月末、入厩直前の調教でのことだった。林氏は、母を思い起こさせるような「切れ味」をドゥラメンテから感じたという。

「ノーザンファームの坂路で追い切ったとき、600mを39秒台、最後の200mは12秒台で上がってきました。そういう2歳馬はなかなかいません。また、3歳馬のトーセンスターダム(牡/GIIIきさらぎ賞優勝馬)と一緒に走らせてみたのですが、最後まで横に食らいついていたんです。これには能力の一端を感じました」

 坂路で計測した好タイム、そして重賞勝ち馬についていった走力。林氏はともに「最初はたまたまかと思った」というが、「翌週も同じことができたので驚いた」と振り返る。

「能力は高そうですから、課題となるのは気性面との兼ね合いだけ。直前の調教や、レース前のパドックでテンションが上がらないことを願っています。育成の調教では、折り合い面も問題ありませんでしたが、レースは別物ですから。うまく折り合ってくれれば、と思いますね」

 アドマイヤグルーヴの産駒は、これまで重賞勝ちこそないものの、どの馬も高い能力を見せてきた。特に2番仔のアドマイヤセプター(牝/父キングカメハメハ)は、短距離の重賞で2着や3着に入線。同馬が新馬戦を圧勝したときは、「桜花賞を意識した」と林氏も当時を思い出す。

 そのアドマイヤセプターも、折り合い面で苦しんだ。ゆえに、ドゥラメントにも同様の不安がつきまとうが、反面"気性の強さ"が闘争心につながれば、展望は大きく広がるはずだ。まずは、10月12日のデビュー戦を注視したい。

河合力●文 text by Kawai Chikara