水川あさみと矢崎仁司監督

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直木賞作家・辻村深月の小説を矢崎仁司監督が映画化した「太陽の坐る場所」が10月4日公開する。高校時代のとある出来事にとらわれながら日々を過ごす響子と、かつては地味な存在だったが、女優として華やかな世界に生きる今日子。女性同士のひりひりとした関係性とともに、高校生たちの青い感情や自意識が繊細に描かれる。主演の水川あさみと矢崎監督が撮影を振り返った。

地方都市の女子アナで、高校時代はクラスの女王として君臨した響子と、響子の影に隠れるように学生生活を送り、その後東京で女優となった今日子が同窓会で10年ぶりに顔を合わせる。そして、同じ名前をもつふたりに隠された秘密が明らかになってゆく。

響子は、容姿や仕事にも恵まれているが、高校時代の自分にとらわれて生きるという難しい背景を持った女性。この響子を体現できる女優として、矢崎監督が水川を選んだ理由をこう語る。「国立劇場での『激動』で川島芳子を演じた、その姿を見たときに決めたんです。凛として、そして悲しくて。ああ、響子がここにいると思いました」

登場人物の心の機微を丁寧にすくいとる矢崎監督の作品に参加し、水川は女優として新たな発見があった。「お芝居をするということの無駄な部分をそぎ落として、残ったところを撮られるという印象です。トイレで自分の顔を見るシーンで、涙が出たのですが、『泣かないで』って言われたんです。これまで私は泣いたり、怒ったり、感情がむき出しになるシーンを監督というものは撮りたがると思っていました。でも、矢崎監督にはそれを出さないでほしいと言われて、すごく面白いなと。普通役を演じるときはいろんな肉付けをするものですが、まったく逆なんです。新しい経験をさせていただきました」

一方、矢崎監督は「水川さんがきちんと役について考えてくれて、髪を長くしてきてくれたのには驚きました。こうして欲しいと言ったことはないんです」と、響子のイメージそのものの、シャープな黒髪のロングヘアが水川のアイディアであったことを明かす。そして、「撮影がいくらつらくても、翌日気持ちよく元気で来てくれた。前の日の撮影の尾を引いたりしないんです。救われました」。過去にとらわれた女性という役どころの難しさに加え、撮影当時はドラマとの掛け持ちで多忙だったにもかかわらず、明るく現場を盛り上げた水川を称えた。

山梨放送開局60周年を記念した作品であり、原作の辻村氏、矢崎監督の出身地である山梨県の各地で撮影された。東京から日帰りできる距離だが、矢崎監督は「東京とすごく近いのになぜか遠いという感覚をずっと持っていました。辻村さんも小説『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ』でそんな距離感を書かれているので、とてもよく理解できたんです」と共感を覚えたことが今作製作のきっかけになった。映画化にあたり30回以上改稿を重ね、原作にないシーンも取り入れた。「辻村さんから、『自分が書いていないシーンも確かに私が書いたって思いながら見ることができた』と言ってもらえたのはうれしかったですね」

水川は「画がすごくきれいで、高校時代のシーンはなんともいえない空気感があって、ひりひりします。夕陽の差す体育倉庫で響子と今日子が出会うシーンはすごく強烈に覚えています」ととりわけ印象深いシーンをしみじみと振り返った。

「太陽の坐る場所」は10月4日全国公開。

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