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10月1日、「スターバックス ラテ」がリニューアルする。同商品は、「スターバックス コーヒー」のブランド名を冠した代表的なドリンクであり、1996年の日本第1号店オープン以来、18年にわたって愛され続けてきた商品でもある。

なぜこのタイミングでのリニューアルなのか。具体的にどのように変わるのか。スターバックス コーヒー ジャパンのビバレッジチームの中島史絵さんにお話をうかがった。

――「スターバックス ラテ」のリニューアルポイントを教えてください。

「大きな変更点はミルクです。これまでのミルクより乳脂肪分が高く、無脂乳固形分を調整したオリジナルミルクを使用します。無脂乳固形分は聞きなれない言葉ですが、牛乳から乳脂肪分を抜いた固形分のことを意味します。ミルクの変更には、エスプレッソとの相性を特に重視しました」。

――味わいの面ではどのような変化が出てきますか。

「乳脂肪分が高くなったことで、ミルクの存在感がアップしてリッチさが増します。しかし、それだけではコーヒーよりもミルクの印象が強くなりすぎてしまう。そこで、これまでよりも無脂乳固形分の成分比率の低いミルクを採用しました。そうすることで、後味がサラリとし、コーヒーの風味を余韻として感じられるのです。大切なのは両者のバランスで、両成分共に0.1%刻みで変化を付けて何度もテイスティングし、やっとスターバックスオリジナルのミルクが完成しました」。

――たったの0.1%でそれほど味わいに差はでるものですか。

「リニューアル後の"NEWラテ"を飲んだお客様が、『変わったね! 』と大きな変化を感じられるような味だとしたら、それはもう『スターバックス ラテ』ではなくなってしまっているような気がします。1杯飲み終わった後に、『あれ? なんだかちょっとこれまでのラテよりおいしいかも……』と感じていただきたいという思いで、わずかな成分の違いでも様々なサンプルを試してみたのです」。

○「ミルク、コーヒー豆、バリスタ」の三位一体

――ミルク以外に変更点はありますか。

「コーヒー豆に関しては、高品質なアラビカ種コーヒー豆を使用することに変わりはありませんが、調達の際の経路を見直し、鮮度の向上を図りました。ラテは、エスプレッソとミルク、たった2つの材料からつくるシンプルなドリンクです。ゆえに、どちらの品質も非常に重要になります。コーヒー豆も農産物ですから、よりフレッシュな状態のものを使うことでおいしさアップにつながります。さらには、バリスタの技術トレーニングも実施し、スキル向上に努めました」。

――全国のバリスタ全員が対象ですか?

「はい、全国にいる約2万5000人が対象です。ミルクのスチーミングを中心に技術トレーニングを一斉実施しました。ミルクは、スチーミングする際に少しずつ空気を含ませていくと、とてもきめ細かなフォームミルクに仕上がります。乳脂肪分の高いミルクに変更することで、スチーミングしやすくなるのですが、技術面も向上させることで、口当たりやわらかでふんわりとしたフォームミルクに仕上げることができます」。

――それにしても、なぜこのタイミングでのリニューアルだったのでしょうか。話題のサードウェーブコーヒーの影響はあるのでしょうか。

「実はこのタイミングを狙ってリニューアルしたわけではないのです。スターバックスでは、常においしい商品をお客様にお届けしたいと考えているのですが、それは新商品だけではなく、定番商品に関しても例外ではありません。ミルクの見直し、豆の調達経路の短縮、バリスタのさらなる技術向上、その3つの要素をお客様にお届けできるタイミングが、今回のリニューアルとなったのです」。

取材後、リニューアル後のNEW「スターバックス ラテ」を飲んでみた。これまでのスターバックス ラテは、最初のコーヒー感が強く、個人的にはそれがスターバックスらしさでもあると思っていた。だがリニューアル後は、アタックのコーヒー感はやわらぎ、乳脂肪分が高くなった影響でミルクのやわらかなコクの印象が強くなった。しかし、飲み進めていくうちにミルクの味わいは徐々に薄らいでいき、穏やかなコーヒーの余韻が長く残る。

飲んでいる間に、流れるように味の主役交代がされていき、リニューアル前よりやさしい印象のスターバックス ラテになったと感じた。18年もの間、変わらずその味を守り続けてきたスターバックス ラテのリニューアル。ぜひアナタもその味わいを体験してみてほしい。

(土方幸子)