会見に出席した(左から)野上照代さん、役所広司、小泉堯史監督

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小泉堯史監督、役所広司主演の映画「蜩の記」の日本外国特派員協会主催による試写会が9月18日、東京・有楽町の同協会で行われ、2人が上映後に会見した。

故黒澤明監督の愛弟子と紹介された小泉監督だが、「難しい素材なので、(外国人が)どう見てくれるのか不安と期待がある。僕の方からいろいろと聞きたい」と落ち着かない表情。だが、上映後に盛大な拍手が起こり、記者の1人から「素晴らしかった。心配はいらないですよ」と太鼓判を押されると、「ありがとうございます」と立ち上がって深々と頭を下げた。

役所には、2005年の「SAYURI」など外国映画への出演経験があるため国内外での撮影現場の違いに関する質問が飛び、「米国などは準備にかける時間が長くて、いい経験だったし、準備は重要なことだと思った。でも、カメラの前で役者が芝居をするのは同じ」と持論を展開。そして、「英語が話せると、もっと外国で一生懸命仕事をしていたかもしれないが、日本映画で頑張って、世界中の人に見てもらえる作品を作りたい気持ちが強い」と強調した。

会見には1950年「羅生門」以降、記録係として黒澤監督の現場を支えた野上照代さんも同席。「蜩の記」の岩手・遠野でのロケ現場も表敬したそうで、小泉監督の評価を聞かれると「黒澤さんが上から見ていたら何て言うかな、と考えていた」と冗談めかした。

これには小泉監督が、「よくやっているな、くらいは言ってほしいな」と懇願。すると野上さんも、「よくやった。100点をくれると思う」と黒澤監督に成り代わってべた褒めし、小泉監督を恐縮させていた。

また、小泉監督は「こういう素材だったら一緒にやれるかなというものは持っている」と、役所との再タッグを示唆。初めて聞いたという役所は驚きながらも、「黒澤監督の遺志を継いだ小泉組のスタッフも高齢になった、平均年齢も高くなった。そういう現場で、まだまだ仕事がしたい」と意気に感じていた。

「蜩の記」は、葉室麟氏の直木賞受賞小説を映画化。不義密通の容疑で幽閉され、10年後の切腹と家譜の編さんを命じられた元郡奉行と、その監視役となった若い武士がきずなを深めていく姿を軸に、人として誠実に生きることの意味を問う人間ドラマ。10月4日から全国で公開される。

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