男性の20人に1人が色覚障害。対応が遅れる「麻雀の赤色」問題

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320万人。日本の色覚障害者(色弱)の数だ。男性のほうが発生しやすく、日本では20人に1人の男性が色覚障害を持っているといわれている。
色覚障害は「わかりにくい」障害だ(本人もわかっていないケースも多い)。そのため、色覚障害者向けのサポートや対応は遅れている。2014年の1月に「パズル&ドラゴンズ」がドロップの色味を変更した「色覚サポート機能」を実装したことは大きな話題になったが、それだけ色覚障害者への対応例がまだまだ少ないことを表している。

多くの人が遊んでいるゲームで、色覚サポートがほとんどされていないものがある。それは「麻雀」。
色覚障害には「P型」と「D型」の2パターンがあるが、そのどちらのパターンにおいても「赤」は見えにくい。明度が低く、目立たない色に見えるのだ。
ところが、麻雀には「赤色」が多く使われている。
ゲーム進行に欠かせない情報(親ランプ、積み棒ランプ、点数表示ランプなど)の表示の赤いランプ、近年普及した点数アップの「赤牌(赤ドラ)」ルール──麻雀を遊ぶ上で、「赤」がうまく見えないことは大きな妨げになる。
色覚障害者で色覚サポートを求める活動をしているとんかつ氏に話を聞いてみた。

「一番見えにくいのは赤牌。自分の手の中にある5牌が、赤牌か通常の黒牌かがわかりません。新品でキレイな牌ならわかることも多いですが、わからない卓に当たってしまった時は麻雀にならない。赤牌にポッチ(印)が無いフリー雀荘に行くのは怖いですね」

▼色覚障害者には、赤牌はこのように見えている

点数に直接絡む赤牌。判別できなければ、その局の方針や対応を決めることや、点数申告が困難になる。

「親や積み棒表示の赤いランプもかなり見えにくい。広く普及している『アルティマ』という麻雀卓では、ほぼ全ての卓のランプが見えません。点数表示も、完全に見えないことが稀にある。そういう場合は同卓者が気を使って点数を読み上げてくれることはあるけれど、ゲームの状態を把握することは難しいです」

では、どのようにすれば、色覚障害者が安心して麻雀を遊ぶことができるのだろう?

「ランプの色は主流の赤から、白や青にしてもらえると見やすいですね。赤牌に関しては、『形・デザイン・記号』などの『色以外の手段で』区別できるようにする必要があります。極端な話、『赤牌はイチゴ味!』みたいな『味・匂い』でもいい(笑)。現実的なのは、ポッチ(印)をつけることでしょうか」

▼ポッチがついていれば、赤牌と黒牌を見分けられる

▼デザインが違えば見分けるのに問題ナシ

オンライン麻雀の「天鳳」の牌デザインはポッチを採用している。Maru-janも対応を始めた。また、一般に発売されている牌の中でも、ミズノ丸一「昭和」や「咲 -Saki- 麻雀牌 Ver.3.0」などは、赤牌と黒牌のデザインが異なっている。
しかし、主流はいまだに「色でしか区別ができない」麻雀牌だ。
とんかつ氏は、アルティマ製造元の大洋技研に「ランプの色」「赤牌」に関する改善を求めてメールを送ったことがある。その返事は、以下のようなものだった。

〈白色などの光は強く視界に入り易く、プレイヤーの麻雀ゲーム集中の妨げになったり、目を疲れさせるなどと言われていたので、目への刺激の少ない赤色を採用した経緯がある〉
〈赤牌に関する要望は極めて少ない。ポッチをつけるためには、金型を1から作製しなければならない。その費用や手間を考えると、現在の価格帯での販売が難しい〉
即座に対応はできかねるが、今後の商品開発に活かす──という返答だった。
メーカー側からの対応は、現状ほとんどされていない。

しかし、客からの要望を受け、赤牌にポッチをつけはじめる雀荘も出てきた(その場合、ドリルなどで牌に穴をあけ、ポッチをつけている)。麻雀情報サイト「麻雀王国」では、赤牌ポッチに対応した雀荘をまとめている特集ページもある。
こうした動きが広まっていけば、メーカー側にもカラーユニバーサルデザインの意識が周知されるはずだ。

ゲームと色にまつわる問題は、麻雀だけではない。
ぷよぷよ、UNOなどのおなじみのパーティーゲームでも困ることがある。特にぷよぷよは、赤と緑、緑と黄、青と紫などの色が見分けづらい。
ぷよぷよのゲームデザイナーの米光一成は、以前大学の授業で「ぷよぷよをプレイしたことがない」という男子学生にショックを受けたのだという。それは、彼が「勝てないからプレイしていない。色覚障害を持っているので、とっさに色が判断できないんです」と返したから。米光はこう言っている。
「ぷよ作ってたころは、ユニバーサルデザインも、知らなかったり、意識してなかった。知らないと、いろんなことに意識を向けるのは難しいなーと思った」今話題となっているIngressはどうなのだろう? とんかつ氏に聞いてみた。「2色あるのははっきりとわかるけど、それらの色が何色かと言われたらわからない。緑はオレンジにも見えるし、青は紫と言われたら『そうなんだー』と思う」
見えている色がたとえ違ったとしても、「同じ」ゲームを楽しみたい。
(青柳美帆子)