トロント映画祭に参加した園子温監督、YOUNG DAIS

写真拡大

 北米最大の映画祭、トロント国際映画祭が今年も現地時間9月4日に開幕した。同映画祭で観客賞を受賞した作品がそのままオスカーを受賞することも多いため、アカデミー賞の前哨戦として注目されている。

 その初日に園子温監督の『TOKYO TRIBE』がミッドナイト・マッドネス部門のオープニング作品として上映され、映画祭の開幕を大いに盛り上げた。園監督はすでにトロント映画祭の常連で、昨年は『地獄でなぜ悪い』が今年と同様ミッドナイト・マッドネスという文字通り夜中の12時から上映が行われる映画祭の人気枠で上映され、同部門の観客賞を受賞している。今年もチケットは売り切れで、外には当日券を求める長い列もできていた。

 監督と主演のYOUNG DAISが壇上に上がると会場からは大歓声が上がり、「TOKYO TRIBE! TOKYO TRIBE!」の掛け声で盛り上がった。上映中もタイトルが出ただけで大拍手が湧き上がったり、随所で拍手と笑いが起き、夜12時からの上映とは思えない熱気が続いた。上映後も午前3時近くまで写真やサインを求めるファンが途絶えなかった。

 監督は「去年観客賞をもらえてうれしかったし、今年もこうやって開幕に呼んでもらえてうれしい」とコメント。司会者は、この作品を『ウエスト・サイド物語』と『スカーフェイス』が合わさったような作品と紹介していたが、監督自身は「この映画の影響は本当にたくさんある」とし、『ストリート・オブ・ファイヤー』(1984年)、『ウォリアーズ』(1979年)、『チョコレート・ファイター』(2008年)といった作品の名を挙げた。

 また、作品のスタイルが変わり続ける監督に次回作は何か? という質問が出ると、監督は「もう完成していてSFモンスター映画です」と明かし、会場からは爆笑と大拍手が。「それでも皆さんが思っているような作品ではないと思います」と語り、司会者からは来年も来てほしいとその場でリクエストされていた。(取材・文:中村明美)

第39回トロント国際映画祭は14日まで開催