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グーグルが、ユーザーのメールを勝手にチェックして警察に情報提供し、それによって米テキサス州の男性が逮捕されたことが、世界を賑わせている。

報道によると、事件が発覚したきっかけは、グーグルが男性の「Gmail」から3枚の児童ポルノ画像を見つけたことだった。グーグルはこの男性のユーザー情報を、NPO団体に通報。警察がその情報に基づいて捜査したところ、容疑者宅から児童ポルノ画像が見つかったため、逮捕に至ったのだという。

グーグルは今年4月に利用規約を更新し、Gmailを含むユーザーコンテンツを分析すると告知している。また、Gmailの利用規約でも、児童の性的虐待画像のようなコンテンツを発見した場合、「適切な機関に報告する」としている。

児童の性的虐待画像が許されないのはわかるが、それを発見するために、他の関係ないやり取りまでグーグルに見られるのはどうも落ち着かない。メール内容は「通信の秘密」として、保護されないものなのだろうか。プライバシー問題にくわしい福本洋一弁護士に聞いた。

●グーグルに「日本の法律は適用されない」?

「日本国内では、電気通信事業者は、通信の秘密を侵害してはならないと法律で定められています。違反者は刑事罰を受けることになります」

福本弁護士はこう切り出した。電気通信事業者が勝手に通信内容をチェックすることはできないということだ。ということは、グーグルが日本で同じことをしたら違法行為になる?

「ところが、そういうわけではないのです。グーグルは、米国の企業であり、Gmailのサーバを日本国外に設置していることから、『日本の法律は適用されない』として、電気通信事業者としての届出をしていません。

つまり、グーグルは、自社が日本向けに提供しているサービスについても、『通信の秘密に関する規制が及ばない』という立場をとっているのです。

過去にも、Yahoo!メールがメールの内容に応じた広告を表示する機能を導入しようとした際に、国内事業者であるヤフーについては『通信の秘密』への抵触が問題視されたのに、先行していたGmailは問題とされなかった、ということもありました。

したがって、日本でも米国と同様に、グーグルによる監視が行われるおそれはあるでしょう」

●プライバシーを守る法整備が必要

日本の法律が不十分ということだろうか?

「そうですね。個々の利用者がプライバシー侵害を理由として、自己の情報の監視に対する差止めを求めることは考えられますが、費用対効果の観点から現実的ではありませんし、利用規約で監視に同意しているとして否定される可能性もあります。現状では、十分なプライバシー保護ができていない状況です。

個人情報保護法の改正の議論でもグローバル化への対応が求められていますが、日本国外から日本国内向けに提供されるサービスに対しても、事前にプライバシーの侵害を規制するような法制度の整備が求められるでしょう」

現状で、個人はどう対処すべきだろうか?

「現状においては、利用者自身がサービス提供事業者のサービス内容を検討したうえで、自己の情報を利用されたくないなら使わない、という選択をするしかないでしょう」

福本弁護士はこのように結論付けていた。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
福本 洋一(ふくもと・よういち)弁護士
弁護士法人第一法律事務所パートナー弁護士、システム監査技術者。2002年同志社大学大学院修了、03年弁護士登録。インターネットにおける誹謗中傷等に対する削除請求・発信者情報開示請求、IT関連・情報セキュリティ、企業秘密・個人情報等の情報管理・漏洩対応等を取り扱っている。
事務所名:弁護士法人第一法律事務所
事務所URL:http://www.daiichi-law.jp/