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EMCジャパンは7月31日、新しいコンセプト「エンタープライズ データ サービス プラットフォーム」を発表するとともに、これを実現する新製品として、ハイエンド向けエンタープライズ・ストレージ「EMC VMAX3(ヴイマックススリー)ファミリを発表。あわせて「EMC Isilon(アイシロン)」のOSである「Isilon OneFS」のアップグレードおよび新しい「Isilon」ストレージを発表した。

「VMAX3」ファミリはハイブリッドクラウドの基盤となるもので、同社では、「VMAX3」により「VMAX」は、従来のエンタープライズストレージからエンタープライズ データサービス プラットフォームに変貌し、データセンターでクラウド同様の新たなレベルの俊敏性、効率性、管理性が実現されるとしている。

米EMC エンタープライズ&ミドレンジシステム部門プレジデント ブライアン・ギャラガー氏は、「VMAX3は、パブリッククラウドの持つ俊敏性・経済性。拡張性と、プライベートクラウドの信頼性の良いとこ取りをしようと設計された製品だ。VMAX3は、業界初のエンタープライズデータサービス向けのプラットフォームで、パワフルで信頼性が高く、俊敏性の高さをデータセンターやサービスプロバイダーに提供する」と説明した。

ギャラガー氏によれば、「VMAX3」のキーとなるのは、新しい「HYPERMAX OS」と「Dynamic Virtual Matrix」アーキテクチャだという。

「HYPERMAX OS」は、ストレージハイパーバイザーが統合されており、クラウドアクセスやデータモビリティ、データ保護などのストレージインフラストラクチャサービスをストレージ内で実行できる。また、「HYPERMAX OS」は、リアルタイムかつ無停止のデータサービスの実行を提供する。

さらに新しいデータ保護ソリューションの「EMC ProtectPoint」により、バックアップサーバを利用することなく、「VMAX3」から「Data Domain」システムへの直接バックアップが可能になる。

一方、「Dynamic Virtual Matrix」アーキテクチャは、処理能力を動的に割り当てることができる。これにより、SLAに基づいた管理が行えるという。

ギャラガー氏は「VMAX3はハードをプロビジョンするのではなく、SLAにもとづいてプロビジョニングを行っていくことができる」と説明した。

新しい「VMAX3」ハイブリッドシステム(100K、200K、400K)は、最大384の処理コアをオンデマンドで動的に割り当てることが可能で、同社によれば、従来の「VMAX」と比べて半分のTCOで3倍のパフォーマンスを提供するという。

「VMAX3」の価格は約1,380万円(税別)〜で、2014年第3四半期に提供を開始する。なお、「ProtectPoint」は、2014年第4四半期に提供開始の予定。

スケールアウトNASである「EMC Isilon」では、OSである「Isilon OneFS」のアップグレードと、新しい製品「Isilon S210」と「Isilon X410」を発表した。

「Isilon S210」は、CPUのコア数を4コアから6コアに拡張し、ノードあたりのIOPSを従来の2倍となる26,000 OPS/secに拡大している。一方「Isilon X410」では、CPUを6コアから8コアに拡張し、スループットが7割増加している。

「OneFS」の最新バージョン「OneFS 7.1.1」では、新たにラッシュベースキャッシュ「SmartFlash」を実装。これにより、ユーザーは、単一クラスタで従来の37TBから1PBまでキャッシュ容量を拡張することが可能となった。

また、新製品ではNFS、SMB、NDMP、HDFS(2014年末に対応予定)、OBJECT via ViPR、OpenStack SWIFT native Object(2014年末に対応予定)など、複数のプロトコルおよびアクセス手法を新たにサポートする。

これは、同社が新たに提唱する「データレイク」を実現するためのものだ。「データレイク」は、1つの場所ですべてのデータを一元的に管理しようとするもの。これにより、分析のためにデータをエクスポートするといった、データを移動することがなくなり、膨大な量の非構造化データの取り込み、格納、保護、管理能力の向上を支援する。

EMCジャパン アイシロン事業本部 部長 倉橋秀則氏は、「今後は、非構造化データが爆発的に増えていき、非構造化データをいかに効率的に管理することが今後のキーになる。そこで、データレイクという新しいコンセプトを発表した。データレイクは、新しいパラダイムシフトだ」と語った。

新製品は7月31日より提供され、価格は個別見積もり。

EMCジャパン 代表取締役社長 山野修氏は「現在のビジネスの課題は新しい成長機会を見つけるために、すばやく反応することだ。これまでは、コスト削減が注目されてきたが、今後は新しいビジネスをつくることに注力していかなくてはならない。そして、これまでの以上にコスト削減とレガシーシステムから脱却が必要だ。そのために、お客様に最適なストレージを提供していくことが、EMCの役割だ」と述べた。