柳葉敏郎が主演するフジの連続ドラマ「あすなろ三三七拍子」(火曜夜9時)。第1話が同枠初回過去最低の7.7%。

第2話も巻き返せず、さらに下降して5.1%と苦戦している。ただ目もあてられない低視聴率とは裏腹にネット上の評判は上々のようだ。

「あー笑ったー!今週も面白かった」
「地味にかなり面白い」
「ちょっとグッときた」
など好評価がとても多い。

柳葉敏郎演じる主人公が、会社の命令で大学の応援団に入り、その応援団を復興させるという内容。応援団独特のしきたりにとまどいながら、年代の違う若い大学生たちとぶつかりながらも、柳葉は懸命に悪戦苦闘する。その中年おやじの姿は、コミカルだがどこかせつなく、感動を覚える。老若男女見ても、納得できる仕上がりのよう思える。

キャストも柳葉敏郎反町隆史西田敏行など大人の俳優や、剛力彩芽、風間俊介、高畑充希など注目の若手俳優が出演するなど、存分に芝居どころがあり、見ごたえがある。

さらに音楽を担当する大友良英は去年大ブレイクした「あまちゃん」も担当してたのりにのった作曲家で、コミカルだが泣ける人間ドラマにはぴったりな世界観を見事に作り上げている。主題歌のスピッツの『愛のことば』も今でも熱狂的なファンがいる20年ほど前の既存の名曲を採用して、その切ないがどこか暖かいメロディーに反響も大きい。

内容も、キャストも、音楽も質が高いのになぜここまで視聴率が落ち込むのか?一説にはフジの宣伝格差も囁かれている。

「HERO」や「若者たち2014」などにフジが力を入れたため、「あすなろ三三七拍子」の存在さえ知られず放送をしているというのだ。事実「あすなろ三三七拍子」のスポットCMはほとんど見受けられない。

刑事ものや、医療ものでもなくて、わかりにくい内容だ。一見すると、時代錯誤のドラマのように見えるのは否定できない。ただ実際は濃厚な人間ドラマが見事に描かれている。それを浸透させる宣伝がほとんどなされていないとなると、確かに低視聴率なのは納得できる。

一時期の視聴率帝国のフジも今は、無様に落ち込んでいる。むしろ視聴者に嫌悪感を持たれているとさえ言える。その中で、「あすなろ三三七拍子」のような良質なドラマが埋もれてしまうのは、必然なのか、それとも徐々に巻き返してくるのだろうか――。
注目の第3話は7月29日(火)