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第1回:アッシュゴールド

 来年の日本ダービーを目指す2012年生まれのサラブレッドの中で、最大の注目を集めている馬のデビューが迫っている。7月26日(土)の中京5レース、2歳新馬(芝1600m)での初陣を予定しているアッシュゴールド(牡2歳/父ステイゴールド)だ。

 アッシュゴールドが注目される理由は、その血統にある。同じ父、同じ母(オリエンタルアート)の全兄にGI3勝のドリームジャーニー、GI通算6勝のオルフェーヴルがいるからだ。とりわけオルフェーヴルは、史上7頭目の三冠馬(皐月賞、ダービー、菊花賞)となった希代の名馬。世界最高峰のレースとされるフランスの凱旋門賞(ロンシャン・芝2400m)でも2年連続2着となって、海を越えてもその名を知らしめた。

 そんな偉大なる兄に続き同馬を管理する池江泰寿調教師や、同じく兄とコンビを組んできた池添謙一騎手が、早々に「オルフェーヴルに似ている」とコメントしたこともあって、アッシュゴールドは大きな期待を背負うようになった。

 デビューへ向けて、アッシュゴールドの育成に取り組んだ社台ファームの青田力也氏は、その印象をこう語る。

「育成を始めた頃は、早生まれ(1月31日生まれ)にしては少し馬体が小さい印象でしたが、実際に負荷をかけると、へこたれない芯の強さを見せてくれました。その後、馬体は成長していきましたし、動きにもバネがありました。スタッフとは『やっぱりいい馬だな』と話していました」

 父ステイゴールド、母オリエンタルアートの血統を社台ファームが育成するのは、アッシュゴールドが初めて(これまではノーザンファームで育成)。その中で、この血統の持つ魅力を確かに感じとったようだ。

 なお、兄オルフェーヴルといえば荒々しい気性も印象的だった。レース後に騎手を振り落としたデビュー戦や菊花賞、コースを大きく逸走しながらも2着に追い込んだ阪神大賞典などは語り草となっている。しかしアッシュゴールドには、「特にそういう部分は感じませんでした」と青田氏。育成もいたって順調で、トラブルなくスケジュールどおりに進んだという。

 実際、アッシュゴールドは、今年3月の時点で早くも社台ファームの前線基地・山元トレーニングセンター(宮城県)に移動。デビューに向けて次の段階へと入った。

「山元トレセンでも評判はよく、いい手応えだったようです」(青田氏)との言葉どおり、こちらでも滞りなくトレーニングを積んだ模様。5月21日には、いよいよ栗東の池江厩舎に入厩。6月13日にはゲート試験もすんなり合格した。

 デビュー前の馬となれば、まだ成長途上であり、調整も思いどおりに進まないことが多い。その中でアッシュゴールドは、ほぼ青写真どおりに階段を上ってきた。青田氏もその部分にこの馬の可能性を感じている。

「やはりこれだけの馬ですから、自分たちのもとからきちんと送り出すことができてホッとしています。デビュー前の時期を順調に過ごせた馬は、走ってくるケースが多いですからね。今は、『どんな走りをするんだろう』という気持ちでデビュー戦を待っています」

 初陣に向けて、調整が進むアッシュゴールド。7月3日の調教では、坂路4ハロン(800m)を53秒6、最後の1ハロンを12秒6という好タイムをマーク。池江調教師も「時計は早くなってきており、良化している」とコメントした。デビュー戦に向けて、態勢は整いつつあるようだ。

 三冠馬となった兄オルフェーヴルは、どんな距離、どんなレースにも対応できる万能な馬だった。同様の資質があると見込まれているアッシュゴールドは、はたしてどんなタイプなのか。まずは、そのデビュー戦の走りに注目したい。

河合力●文 text by Kawai Chikara