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●背景を暗く落として被写体を引き立たせるテクニックキヤノン「PowerShot G1 X Mark II」は、さまざまなオプションのアクセサリーを利用して撮影機能を強化できることが魅力のひとつ。今回は、外部ストロボ「スピードライト 600EX-RT」を使用し、植物の色とかたちをいっそう際立たせるような撮り方を実践してみよう。

【レビュー】キヤノン「PowerShot G1 X MarkII」長期試用リポート第1回 - クローズアップレンズでマクロモードを強化する(2014年4月17日)第2回 - NDフィルターを使って絞りとシャッター速度の幅を広げる(2014年5月24日)

「PowerShot G1 X Mark II」は、ボディ天面のアクセサリーシュー(ホットシュー)に外部ストロボを装着可能になっている。上の製品写真は、同社ストロボの最上位モデル「スピードライト 600EX-RT」を装着した状態だ。少々大柄のストロボで、ボディとのバランスはあまりいいとはいえないが、筆者がふだん一眼レフのEOS用に活用している製品なので、今回はそれをそのまま使うことにした。「PowerShot G1 X Mark II」の専用に使うなら、より下のクラスのストロボ「430EX II」や「320EX」「270EX II」などを選ぶのもいいだろう。

まず外部ストロボの効果を確認するために、同じ時間帯に同じ場所で撮影した3枚の写真を順にチェックしてみよう。下の1枚目の写真は、ストロボを発光せずにプログラムAEモードで撮影したもの。夕方とはいえ、まだ十分な光があるため、ストロボを使わなくても写真全体が明るく写っている。ごく普通に撮影したらこうなるという見本だ。

次の写真は、内蔵ストロボを発光させて撮ったもの。撮影モードをマニュアル露出モードに変更した上で、シャッター速度をより高速にして、絞りはF11まで絞り込んだ。こうすることで上の写真に比べて露出は4段弱ほどアンダーになり、背景は暗く落ち込み、ストロボ光が当たった花のみがいっそう目立つようになった。ただし、光量は少し不足気味だ。

そこで次の写真では、内蔵ストロボは閉じ、ホットシューに装着した外部ストロボを使って撮影した。その際、発光部の角度を15度くらい上に向けることで、近景のみが明るくなるのを防いでいる。露出は上の写真と同じだが、ストロボ光がより遠方にまで当たり、手前の花だけでなく奥の花も明るく写っていることが分かるだろう。

以上の3枚のうち、実際の見た目に近いのは、ストロボを使わずに撮った1枚目の写真だ。ただし、ここでの狙いはチューリップの色彩感を引き立たせること。その意味では、外部ストロボを使った3枚目がもっとも狙いに合った写真といえる。外部ストロボは、内蔵ストロボに比べて光量が多く、しかも発光部の角度を調整できるので、このように狙いに応じて光をコントロールする自由度が高い。次の写真も、同じように外部ストロボを活用して撮ったものだ。

●外部ストロボのワイヤレス発光を楽しむ外部ストロボは非常に便利だが、ボディの天面に装着する使い方だけでは、まだ十分に活用できているとはいえない。さらに自由なライティングを楽しむには、ボディから切り離し、ワイヤレス発光モードで使うといい。

「PowerShot G1 X Mark II」で外部ストロボをワイヤレス発光させるには、オプションのアクセサリー「トランスミッター」を利用する。現行のキヤノン純正トランスミッターには2製品があり、今回使用した外部ストロボ「600EX-RT」の場合は、より高機能で強力な電波通信式トランスミッター「ST-E3-RT」が使用できる。それ以外の外部ストロボの場合は、光通信式のトランスミッター「ST-E2」を用意しよう。

下の2枚の写真は、植物園の温室内で撮影したベゴニアの花だ。特に暗い場所ではなく、ストロボを使わなくてもそれなりに美しく撮れるが、それだけでは少々面白みに欠ける。そこで、左手に外部ストロボを持ち、花の左側面から光を照射して撮ってみた。すると、背景には光が当たらず、黒バックの中に鮮やかな花のみが浮かび上がるような写真になった。

次の2枚も同じく、ストロボ非発光と外部ストロボ発光を撮り比べたもの。撮影したのは日中の屋外だが、シャッター速度を高速にして絞りを絞り込むことで、背景を暗くすることができた。それと同時に、外部ストロボを花の上方向から当てることで、花びらに陰影を作り、より立体的に見せている。

これらの写真はすべて、三脚やスタンドは使わずに手持ちで撮影したものだ。花の上または横から光が当たるように、外部ストロボを持った左手を伸ばした上で、トランスミッターを付けたカメラのボディを右手に持って、右手のみでズーミングや撮影の操作を行っている。「PowerShot G1 X Mark II」は、一眼レフに比べると格段に小型軽量のボディなので、片手で構えて片手で無理なくシャッターを切れる。大きくて重いカメラではこうはいかないだろう。

外部ストロボとトランスミッターの組み合わせは、天候に左右されず、自分の狙いに応じて好きな光の状態を作り出せることがメリットだ。花の写真を見た目とはちょっと違った雰囲気で撮りたいときには特にオススメできる。

「PowerShot G1 X Mark II」長期試用リポートは今回で終わりです。次回からは「EOS M2」長期試用リポートがスタートします。

(永山昌克)