ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 上半期の総決算となるグランプリ、宝塚記念(阪神・芝2200m)が6月29日に開催されます。出走頭数は、12頭と少なくなってしまいましたが、好メンバーがそろって馬券的には面白そうですね。

 毎年、暑くなってくる時期に行なわれるため、宝塚記念は非常に調整が難しいレースです。また、ここで目一杯のGI仕様の仕上げをしてしまうと、秋に反動が残ってしまうことがあります。例えば、天皇賞・秋(11月2日/東京・芝2000m)を目指すなら、始動するのは9月の後半。休める期間は決して長くはなく、まだ暑さが残る時期から、再び仕上げ始めなければいけません。それは、馬にとってはかなり酷なことです。

 そんなことを頭に入れて注目馬をチェックしてみると、実績ナンバー1のジェンティルドンナ(牝5歳)は、昨年逃した(2着)天皇賞・秋のタイトルは是が非でも欲しいところ。もちろん、宝塚記念も3着に敗れているため、逃せないタイトルですが、どちらの優先順位が高いかと言えば、おそらくより価値の高い天皇賞・秋でしょう。もしそうなら、ここは秋を見据えた仕上げになるはずです。

 ゴールドシップ(牡5歳)は、昨年の覇者でもあり、暑さには強そうです。前走の天皇賞・春(5月4日/京都・芝3200m)は、スタートで後手を踏んだのがすべて。腹をくくって最後方から競馬をしましたが、展開が向かず、まったく自分の競馬ができぬまま、7着と馬群に沈みました。

 しかし今回は、見直せると思います。前走は、終始外目を回ることになって、まったく力を発揮できずに終わっていますからね。そのうえ、鞍上にはワンアンドオンリー(牡3歳)で今年の日本ダービーを制した横山典弘騎手を配しました。横山騎手は、結果が欲しいところで、きっちりと勝ち切るジョッキーです。連覇を果たしてもおかしくありません

 天皇賞・春2着のウインバリアシオン(牡6歳)も有力な一頭です。屈腱炎(くっけんえん)を患った脚元も、今のところ心配はなさそうで、悲願のGI奪取のチャンスは十分にあります。

 これら上位3頭の他に、天皇賞・春で3着と好走したホッコーブレーヴも気になる存在です。日経賞(2着。3月29日/中山・芝2500m)で桁違いの末脚を見せて、実は天皇賞・春でもどんな競馬をするか、注目していました。すると、日経賞同様の鋭い末脚を披露。勝ったフェノーメノ(牡5歳)とも僅差の勝負を演じました。

 1回だけなら、たまたま展開がはまったとも考えられますが、2回続けて決め手を見せたことは、地力が強化された証と言えるでしょう。その後、出走を予定していた目黒記念(6月1日/東京・芝2500m)は回避。もし使っていたら余力が残っていなかったでしょうから、ここに向けてじっくりと調整できたこともプラス材料です。

 さて、このレースの「ヒモ穴馬」ですが、大阪杯(4月6日/阪神・芝2000m)の惨敗(7着)で大きく株を下げたメイショウマンボ(牝4歳)を取り上げたいと思います。

 昨年は、オークス(2013年5月19日/東京・芝2400m)、秋華賞(10月13日/京都・芝2000m)の牝馬二冠を制し、古馬混合のエリザベス女王杯(11月10日/京都・芝2200m)も快勝。(ジェンティルドンナとは未対戦のため)暫定牝馬ナンバー1の座につきました。その3勝はすべてワンサイドゲームだったので、たとえジェンティルドンナと対戦しても、互角以上の勝負になると思っていました。

 ところが、今年の始動戦となった大阪杯で、前述したとおり大敗。同い年のダービー馬キズナ(牡4歳)や、菊花賞馬エピファネイア(牡4歳)にまったく太刀打ちできませんでした。それまでの実績からすれば、僕自身、勝ち負けできると思っていましたが、期待外れに終わりました。その極端な負け方に、「やっぱり牝馬はこんなものか......」と思ったファンも多かったみたいですね。

 その際、僕が思ったことは、内面的な部分で何かしら問題があったのではないか、ということ。結果、本来の力からすれば、圧勝してもおかしくない、次戦のヴィクトリアマイル(5月18日/東京・芝1600m)でも、勝ち切れませんでした。

 それでも2着と、復調気配がうかがえます。今回は、休み明け3戦目。もともと叩き良化型の馬ですから、今度こそメイショウマンボらしいレースを見せてくれるのではないかと思っています。ジェンティルドンナを破って、真の牝馬ナンバー1の座につけるのか、必見です。