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4月から一人暮らしを始めた方は、そろそろ新生活に慣れてきたころかと思います。一方で、気に入ったお部屋に入居できたのは良かったけれど、騒音などを代表する近隣関係の問題に悩んでいる方もいるかもしれません。そこで、集合住宅でよくある悩みの一つである騒音問題の解決方法について、“不動産・住生活”のプロに聞いてみました。

Q.隣の部屋の人が深夜、大勢で騒いでいるどうしたらいい?

A.まず、大家さんや管理会社に事情を伝え、掲示物や各戸のチラシ配布で全員に注意してもらう方法から始め、手順を踏みましょう。

財団法人不動産適正取引推進機構の「賃貸住宅に入居して困ったこと」を尋ねた調査では、一番多かった「物件の不具合・修繕」13.5%に続き、「騒音等近隣関係」13.3%と2番目に多い結果となっています(複数回答、2012年)。

騒音や異臭、飼育禁止のペット、ゴミの出し方、廊下に荷物を置くなど、近隣関係に由来する苦情にはさまざまなものがあります。ここで直接、相手に伝えるという方法があります。ただし、それには事前に顔見知りで、話しても意図がきちんと伝わることが前提です。つまり、事前にお互い配慮ができる人間関係が築かれている場合です。残念ながら、都市の集合住宅、とくに単身者向けのアパートやマンションでこのような関係がある例は少ないかもしれません。

多くの人は引越ししても挨拶をせず、「隣人がどのような人か知らない」のではないでしょうか。顔も知らずにいきなり「音がうるさいのですが」と切り出すのは控えたほうがよさそうです。言われた側は元々自覚がありません。さらに、人によっては知らない人から「批判された」と受け止めてしまうことがあるからです。

まず、大家さんや管理会社側に対応をゆだねますが、事情を伝えるには感情的にならず「何時にどの部屋からどのような音でこんな不利益が生じている」と事実を冷静に伝えるようにします。ただし、注意したいのは集合住宅では必ずしも音が聞こえる方向が音の発生源ではないことです。音が聴こえたら廊下に出てみて、直接、音の方向の部屋の前に行ってみるという方法も必要かもしれません。伝える際には、「私以上に、この建物に今後入居してくる人が長期に住めるよう、不快に思われないように配慮をお願いします」と、全体の問題として対応してもらうように伝えましょう。

さらに問題が続けば、大家さんや管理会社から直接、該当する部屋の借り主に注意をしてもらうようにお願いしましょう。また、他の部屋の人と知り合いになる機会があれば、その人たちが騒音をどう思っているか聞いてみることもよいでしょう。聞いた内容は、相手の承諾を得られれば、その名前や部屋番号を伏せて大家さんや管理会社に伝えておきます。

もし、これらの手順を踏んでも一向に変化がない場合は、大家さんから賃貸借契約の解除などの法的手段をとってもらう方法があります。大家さんが全く動かない場合は、自分で調停などを起こすこともできます。

ただし、賃貸住宅は、住み替えしやすいのがメリットです。よほどその物件が気に入っている以外は、時間と費用をかけてこういった対応をするより、新たな住まいを探すほうが精神衛生上、よいのは確実です。裁判になってたとえ勝訴したとしても、損害賠償金はわずかなもの。被害者側が引っ越しをするのは悔しい面もありますが、大事なのは自分の日常生活です。筆者も過去に、近隣トラブルにより、1年もたたずに引っ越しした経験があります。一番大事なものは何かを考えて行動しましょう。

高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォームなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。書籍に『最高のマンションを手に入れる方法』(共著)『マンションは消費税増税前に絶対買うべし!?』(いずれもエクスナレッジ)など。「夕刊フジ」にて『住まいの処方銭』連載中