韓国・珍島(チンド)沖の旅客船「セウォル号」沈没事故で、行方不明者の家族や遺族が集まる港に、関係のない市民が押しかけ、備品を盗んだり事故の被害者家族を装って食事をするなどの問題が発生していることが分かった。複数の韓国メディアが5日、報じた。

 事故発生から20日経ち、セウォル号の不明者家族が集まっている珍島室内体育館には、全国から多くの寝具や生活用品が届けられている。しかし現場関係者によると、事故とは無関係の市民が訪れ、行方不明者の家族や遺族のために用意された無料の食事をしたり、救護用品を持ち去る事例が相次いでいるという。

 5日には観光客とみられる40代の男性が子どもと一緒に現場を訪問する姿が目撃されている。この親子はボランティアが提供する食事を取ると、事前に用意していたとみられるカバンに飲料水やパンを20個ほどを詰め込み、立ち去っていた。

 体育館に用意されている寝具、手ぬぐい、美容品などを持ち去る人も多い。4月末には港の公衆トイレに設置されていた大型のトイレットペーパーが紛失する出来事があった。現場では「ソウルの一部の路上生活者が珍島で救護用品“ショッピング”をして帰った」とのうわさも流れているという。

 実際、珍島警察は4月27日に、関係者を装い救護用品などを3回に渡って盗んだ39歳の男に対して拘束令状を出している。

 一部の市民によるマナーのない行動は、これだけではない。好奇心で家族や遺族に近づいて話しかける人や、記念写真を撮影するカップルもいるという。

 韓国のインターネットユーザーらは「手伝うどころか記念写真だなんて…恥ずかしい行動だ」、「悲しくなる」などとマナーのない行動を取る人々を厳しく批判した。(編集担当:新川悠)