「ジェネリック家電大賞2013・AV家電部門賞」を受賞した「7型液晶付きDVDシステム NW‐1205」

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急速に市場が拡大している“ジェネリック家電”の中でも、異彩を放つドン・キホーテの「情熱価格」。ただ「安い」「便利」というだけではない“プラスアルファ”はどう生まれるのか? 独自すぎるプライベートブランド&メーカー共同開発商品の裏側に迫る!

■大手メーカーのNGがドンキの「正解」

週プレ読者にとって、ドンキといえば真っ先に思い浮かぶ商品ジャンルのひとつは、独特の商品展開が印象的な「家電」ではないだろうか。特に特徴的なのが、ドンキでしか売っていないオリジナルのPB(プライベートブランド)製品と、家電メーカーとの共同開発製品である「情熱価格」シリーズだ。

その名のとおり、ますはリーズナブルな価格設定が強烈なアピールポイントとなる「情熱価格」。しかしそれだけではなく、世に流通するほかの“ジェネリック家電”がシンプルなデザイン、必要十分な機能をウリにするのとは対照的に、「情熱価格」はデザイン面(ゴールドなど派手な色使い、ブルーやピンクのギラギラなLED電飾、スケルトン……)、あるいは機能面(ほかに例を見ない“プラスワン機能”など)でも明らかに異彩を放っている。

これらの製品はどのように企画・開発されているのか?

「大手メーカーなどでは『NG』になりがちなことが、ドンキでは逆に『正解』となることが多いんです。もちろん単純に『ほかでやっていないから』という理由ではなく、『実はお客さまはそちらを望んでいる』という裏づけがあってのことですが。製品の仕様から色、デザインまで、お客さまのリクエストが確実にあるとわかればどんどん製品化します」(デザイン戦略事業開発室ゼネラルチーフ・野村悠斗氏)

例えば、記念すべきドンキ初のオリジナル家電製品となった2010年5月発売の「DVDプレイヤー内蔵13・3型地デジ&ワンセグLED液晶テレビ」。テレビの外枠、そしてリモコンまでスケルトンという大胆すぎるデザインがじわじわと話題を呼び、ロングセラーの定番商品となった。

今春新発売の「2WAYサイクロン式スティッククリーナー」(アイリスオーヤマとの共同開発)も、ドンキらしさ全開のゴールド&ブラックのツートンカラーがひときわ目立つ。この色使いは、実際に消費者モニターを集めて意見を聞き、「いける!」と確信しての採用だったという。

「もともと使いやすさに定評のあったアイリスさんのサイクロン掃除機とのコラボです。色使いだけでなく、大型ヘッドとペットの毛などをきっちり吸い取れるほこり取りのアタッチメントを追加し、お値段は通常のままの据え置きになっています」(野村氏)

ただし、この「何をつくってもいい!」という自由も、決して無制限のものではない。大前提として、「自社で製品をつくる以上、メーカーブランド製品よりも利益率が高いこと」という絶対条件があるのだという。

例えば前述のスケルトンテレビも、製造過程のコスト増などで仕入れ値が上がったため、売れ筋にもかかわらず一度は生産中止となった。その後、消費者からのラブコールを受けてメーカーとの折衝を継続し、コストの見直しに成功したことで現在に至っているわけだ。こうして「魅力的な価格設定」と「一定の利益率」を両立できるメーカーとの交渉力の源泉は、間違いなくドンキの「販売力」の強さなのだろう。

また、多くの「情熱価格」シリーズには、製品そのものの機能やデザイン以外にも、通常の家電製品とは大きく違う“仕掛け”が施されている。

「製品を梱包(こんぽう)するパッケージにもかなりこだわっています。というのも、ドンキの店頭の家電コーナーには、商品説明をする専門の販売員が常駐しているわけではありません。だからこそ、お客さまがパッケージの絵や写真を見ただけで、『なるほど、こんな使い方ができるんだ』と理解できるようなデザイン上の工夫を心がけているんです。そしてもちろん、『買い場』に積まれたときに目立ち、見ていて思わず楽しくなるようなパッケージであることも大前提です」(野村氏)

確かに、店頭で「情熱価格」のパッケージを意識して見てみると、大手家電メーカーの無機質な段ボール箱とは根本的に発想が違うことがわかる。

昨年ヒットした「7型液晶付きDVDシステム NW‐1205」が、オリジナル家電「情熱価格」の製造開始からわずか4年目にして「ジェネリック家電大賞2013・AV家電部門賞」を受賞したドンキ。それは決して偶然ではなく、「安さ」と「楽しさの演出」を両立させてきた独自の開発スタンスゆえなのだ。

(取材・文・撮影/近兼拓史 撮影/五十嵐和博)