【漫画・アニメ】“天才タイプ”は本当か!? 「左利きキャラクター」を調べてみた

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「左利きの人間は天才タイプ」「左利きは出世する」「左利きは寿命が短い」――昔から言われ続けてきた“左利き”の特徴は、データで実証されているものから迷信じみたものまで多種多様だ。

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統計上はおよそ10人に1人の割合で存在するとされる左利きだが、ふと私たちが普段から目にしている漫画・アニメを思い返してみれば「そんなに左利きキャラクターは多かったかな?」と悩んでしまう。

そこで今回はさまざまな作品から“左利きのキャラ”を探し出し、その設定にどんな効果があるのかなどを考えてみた。

■代表的な“左利き”キャラクターたち

まずは有名どころの漫画・アニメから左利きのキャラクターを引っ張り出してみよう。

主人公または主役級でいえば、『テニスの王子様』の越前リョーマ、『けいおん!』の秋山澪、『るろうに剣心』の斎藤一、『魔法少女リリカルなのは』の高町なのは、『咲-saki-』の原村和などが左利き。ミュージカル版『テニスの王子様』、映画版『るろうに剣心』では、左利き設定がちゃんと生身の役者によって再現されている。

ちなみに主役級ではないが、このほど2年ぶりに連載再開が発表された『HUNTER×HUNTER』のシズクも左利きだ。

また『鋼の錬金術師』のエド、『寄生獣』の泉新一のように、本来は右利きだが、ストーリーの展開上やむなく左手メインになったケースもある(後述する野球漫画の主人公たちも同じ)。

こうして見ると左利きキャラは多いように思えるが、とてもじゃないが割合的に全キャラ数の1/10には届いていない。作中でのポジションにしても「天才型」「出世する」「短命」などは当てはまらないように感じられる。

越前リョーマや高町なのはのような超絶天才タイプもいるが、むしろ全体としては少数派。目立った出世をすることもなければ、右利きキャラより短命というわけでもない。リアル世界の左利きと、漫画・アニメ界の左利きキャラは必ずしもイメージが一致しないようだ。

■“左利きキャラクター”にするメリット

漫画やアニメでキャラクターを左利き設定にするメリットはどこにあるのだろうか。ざっと思い浮かぶのは下記のような理由だ。

【外見上の特徴づけ】
漫画にせよアニメにせよ、キャラクターデザインは基本的に一人が担当するので、どうしても顔つきが似通ってしまう。そんな中に左利きのキャラが入れば、シルエットだけで判別がしやすくなる。

【スポーツ&バトル作品のドラマ要素として】
野球や格闘技のように、左利きがアドバンテージとなる分野がある。これらを扱った漫画・アニメではキャラを左利きにすることが大きな意味をもつ。

『巨人の星』の星飛雄馬や『MAJOR』の茂野吾郎などは右利きだったが、矯正やケガなどによって左投げピッチャーとなった。また、『はじめの一歩』のようなボクシング漫画でも、主人公が慣れないサウスポーを相手にとまどうシーンが描かれている。

【推理の手がかりとして】
スポーツ以外で左利きキャラが意味をもつのは、いわゆる“名探偵モノ”のジャンル。コナン・ドイルやエドガー・アラン・ポーのころから使われていた古典的な「この犯行現場から、犯人は左利きだと推理できます」という例のアレだ。いい加減に使い古された感もあるが、いまだ『名探偵コナン』『金田一少年の事件簿』といった人気作の推理シーンにも登場している。

真犯人を見つける手がかりとして、または読者にミスリードさせるための演出として、これからも左利きキャラは重宝されていくことだろう。

■演出とストーリーに深みを持たせる“利き手”設定

スポーツや推理ジャンル以外で左利きキャラクターを活用した例が、ロボットアニメ『機動戦士ガンダム00』。

この作品に登場するグラハム・エーカーは35周年を迎えるガンダムシリーズの中でもきわめて珍しい“左利きのライバル”だ。彼が操縦するモビルスーツもわざわざライフルを左手に持つようカスタマイズされている。

量産機に乗ることが多かったグラハムだが、モビルスーツ自体を左利き仕様にしたことにより、シルエットを見ただけで視聴者にも遠目から「これはグラハム機だな」と判別しやすくなっていた。彼の特徴的なセリフの数々とあわせ、キャラクターの差別化に“左利き設定”が有効な役割を果たしている。

また、格闘・バトル系のお約束として、“なんとか敵の利き手(右手)を封じたと思ったら実は左利きだった”という展開が熱い。試合中にリアルタイムで「実は俺……隠してたけど左利きだったんだ」などというセリフが主人公の口から出てきたら燃えるし、逆にライバルがそう言ったなら読者は絶望的な気分にさせられる。

ハードな格闘描写に定評ある『軍鶏』は、こうした“利き手のスイッチ”を主人公とライバルの試合中、最高のタイミングで出して決戦シーンを盛り上げた。

人気の長編ファンタジー『ベルセルク』にも左右の手を効果的に使い分けるシーンがたびたび登場する。主人公・ガッツが大剣をもった利き手(右手)を封じられて絶体絶命、しかし左の義手に仕込んだ大砲が炸裂して敵を吹き飛ばす!というシーンは何度見ても痛快。利き手の印象が強ければ強いほど、逆側の手が活躍した時のインパクトは絶大になる。

このように漫画・アニメでの“利き手”設定は、うまく使えば作品をよりおもしろく見せることに役立つ。お気に入り作品に左利きのキャラクターが出てきたら、“その設定にはどんな意味があるのか?”を想像してみるのも楽しいかもしれない。

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