それもありだな、と思う。 

 3月5日にテストマッチを行なうブラジル代表が、3週間前にメンバーを発表した。ルイス・フェリペ・スコラーリ監督もずいぶん気が早い……とも、言い切れない。
 
 ワールドカップまであと4か月である。劇的なメンバーの入れ替えがあるとは考えにくい。選ばれる立場の選手も、メディアも、サポーターも、本大会に出場する23人はおよそ固まった、と考えているはずだ。
 
 だとすれば、早めの発表に支障はない。
 
「しっかり準備をしておいてくれよな」という、監督から選手へのメッセージと受け取ることができる。
 
 メンバーから漏れた選手にも、都合が悪いところはない。代表入りには何が必要なのか。何が足りないのか──1週間前あたりに発表されるより前倒しで、自分と向き合うことができる。
 
 スコラーリ監督が巧みなのは、国内組の発表を残していることだ。「GKを含めて、少なくとも3人を追加招集する。4人になるかもしれない」と話している。
 
 海外組で固められたリストを見て、国内組は自らの立場を認識しているはずだ。「チャンスあり」と判断した選手も、「自分はギリギリだ」と考えた選手も、モチベーションをさらに燃焼させていくだろう。この時点で闘志を失うような選手には、そもそもワールドカップ出場のチャンスなど訪れない。3週間前の発表は、誰にとっても利益をもたらすものだ。
 
 ブラジルが南アフリカと対戦する同じ日に、日本はニュージーランドを迎え撃つ。すでに「海外組中心」の意向を明らかにしているザックも、早い段階でメンバーをアナウンスしていいと思う。
 
 発表をしないまでも、選手とのコミュニケーションをはかるべきだ。イタリア人指揮官はヨーロッパで視察中だが、本田や香川らのゲームだけでなく、ボーダーライン上の選手のもとにも足を運んでほしい。
 
 本大会を勝ち抜くには、チームの一体感が不可欠だ。ビッグクラブでプレーする選手が増えても、こればかりは変わらない。先発から外れる選手の気持ちを掌握できるかどうかは、重要なチームマネジメントである。
  
 監督の細かな気配りに奮起し、チームへの忠誠心を膨らませるのは、日本人特有のメンタリティだ。そのあたりに、ザックは気づいているのか。僕は不安を覚えている。