「戦術が単純」、「質がない」…マンU元首脳陣がモイーズ体制を批判

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 日本代表MF香川真司の所属するマンチェスター・Uは9日、プレミアリーグ第25節で最下位フルアムとホームで対戦し、2−2で引き分けた。

 同試合後、マンU前体制でアレックス・ファーガソン氏の右腕として昨シーズンのリーグ優勝に貢献した前助監督のマイク・フェラン氏と、昨年12月にフルアムの監督に就任した前マンUコーチのレネ・メウレンステーン氏がこぞって現体制を批判した。

 プレミアリーグの公式記録を管理する統計会社オプタによると、タッチ数を基に割り出した各選手の平均的プレー位置では、フルアムのワントップ以外が主に自陣でプレーしていたことが明らかとなり、守ってカウンターを仕掛ける、という戦術が引き分けという好結果につながったことを如実に示していた。

 スタッツを見ると、マンUがいかに苦しんだかが容易に分かる。シュート数31本−6本、ボール支配率75%−25%、 パス数649本−216本、タッチ数904回−435回、 クロス数81本−4本。クロス81本は、統計会社オプタが2006年から公式記録を付け始めて以来、プレミアリーグ最多数となったが、味方に繋がった回数は18本のみと、精度に欠けた。

 奇しくもフルアムの監督は、昨シーズンまでマンUにコーチとして在籍したオランダ人監督のレネ・メウレンステーン氏。同氏はデイヴィッド・モイーズ氏のマンU監督就任と同時に、追い出される形でクラブを去った。

 メウレンステーン氏は試合後、モイーズ監督へ恨みをぶつけるかのように不敵な笑みを浮かべ、次のように述べた。

「相手の戦術は単純だった。サイドから何度もクロスを放り込んできたが、我々は上手く守った。組織的に戦えば、サイドからのクロスは簡単に守れる」

「(今シーズンの)オールド・トラフォードで結果を築いたチームは、戦術を変えて挑み、ユナイテッドの弱みを考えて戦った。我々を見ても分かる通り、相手はかなり苦しんでいた。彼らにはいくつか問題がある」

 一方、試合をライブで放映したスカイスポーツは、メウレンステーン氏と同様、ファーガソン氏の退任と共にマンU助監督の座を退いたマイク・フェラン氏を招き、試合を総括した。

「この結果にユナイテッドは精神的に打ちひしがれたことだろう。勝たなければならない試合に勝つのがユナイテッドだが、ロスタイムに同点ゴールを決めたのはフルアムだった。守備的な戦術通りに90分戦い続けたフルアムが勝ち点1をもぎ取ったことは称賛に値した。ユナイテッドは心底ガッカリしただろう。枠内へのシュート数、ペナルティエリア内へのクロス数を見ても、ユナイテッドは試合に勝てるだけのプレーはしているが、質がない」

「このスタッツは誤解を与えるだろうし、ユナイテッドをさらに痛めつけるものになると思う。あれだけボールを支配しながら勝てず、好機を作りながら得点できなかった。創造性に欠けていたし、クロスに固執し過ぎた。他に選択肢がなく、機能しなかったし、違う攻め方でフルアムの戦術を崩すべきだった」

 マンUでは同試合前、チーム主将の元セルビア代表DFネマニャ・ヴィディッチが今シーズン限りでの退団を表明すると、イングランド代表FWウェイン・ルーニーも、「今シーズンの現実的な目標は4位(チャンピオンズリーグ出場権獲得圏内)。今から優勝を目指すのは極めて難しい」と述べ、消極的な話題に包まれていた。

 マンUは今後リーグ6試合でさらなる正念場を迎える。12日に敵地でアーセナルと対戦した後、チャンピオンズリーグ16強のオリンピアコス戦を挟む過密日程の中で、リヴァプール、マンチェスター・Cとの大一番をこなすことになるが、ここへ来て最下位を相手に取りこぼした勝ち点と、マンU前体制首脳陣による的を射た批判は、モイーズ監督を窮地へと追いやった事だろう。

文=藤井重隆