9日、岩波書店創業100周年記念企画・後藤仁『犬になった王子』絵本原画展が銀座の「教文館子どもの本のみせナルニア国」で1月29日から開催される。

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2014年1月9日、岩波書店創業100周年記念企画・後藤仁『犬になった王子』絵本原画展が銀座の「教文館子どもの本のみせナルニア国」で1月29日から開催される。今回の原画展について、画家の後藤仁さんよりコメントをいただいた。

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▼後藤さんが語る「チベット民話を描くに至ったいきさつ、チベットに対する思い入れ」

チベットの伝統文化・芸術には子供の頃から、何となく高い関心がありましたが、大学生の頃になるとチベットへ行ってみたいという思いが強くなりました。しかし、自由旅行が出来ない地域でもあり、なかなか機会がありませんでした。

福音館書店で絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』を手掛けた時に、中国文学・民話研究の権威、君島久子先生とお会いしました。君島先生の多くの作品を拝読するうちに、「犬になった王子」というチベット民話に目が留まりました。この作品は初めて読んだのですが、何かしら“なつかしい”感動を覚えました。また、何かに似ている…と感じました。

思うところがあり、私が15歳の時に読んで以来、私の最も大切な作品となっていた、宮崎駿氏の絵物語「シュナの旅」を読み返してみました。あとがきを読むと、中学生の時には意識していなかったのですが、「シュナの旅」の原話は「犬になった王子」(訳:君島久子、岩波書店)であると書かれていました。大きな“縁”と“運命”を感じた私は、すぐさま君島久子先生と岩波書店に打診して、ぜひ、この民話を「絵本」に描きたいと言う強い意志を伝えました。これだけ面白くて重要かつ人気のある作品であるのに、今まで絵本化されて来なかったというのは、やはり私に残しておいてくれたのだろうと、勝手に運命論的解釈をしています。

こうして、約20日間のチベット・四川省の写生旅行と1年余りの本画制作等、合計2年余りの制作期間を経て、絵本『犬になった王子 チベットの民話』は誕生しました。

▼前作の「絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』東北寄贈プロジェクト」について

この絵本は、一人の少女の思いやりと勇気によって、自然の脅威を乗り越え、村に水をもたらすという感動物語です。私はこの物語の真髄を“少女の真心”ととらえました。

ぜひ、この“真心”を自然災害によって大きく心が傷ついたであろう東北の子供達に伝えて、少しでも勇気・元気を出してほしいという一念で、東北等への絵本寄贈を始めました。直接現地へおもむいて学校へ手渡ししたり、各団体・公共機関を通して送ったりしました。

なかでも、岩手・宮城・福島を回って学校等に直接手渡しした時に、突然訪れた謎の絵描きに対して、丁寧なお礼の言葉をいただけた時は心からうれしかったです。校庭を元気に駆け回る子供達が、ますます元気に育っていく事を願いました。

今までに東北等の学校・図書館・児童施設等に、合計800冊以上の「絵本」を贈って来ましたが、この活動は東北・日本…そして中国・アジア・世界を視野に入れて、恒久的に継続して行かなければいけないと思っています。

■後藤仁
1968年兵庫県生まれ。15歳の時、大阪市立工芸高校美術科で日本画を始める。東京藝術大学日本画専攻卒業、後藤純男に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。卒業以降は日本画家として活動し、中国をはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は絵本原画制作に力を入れる。2013年、絵本『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)、『犬になった王子(チベットの民話)』(岩波書店)出版。NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞等への出演・掲載も多い。

後藤さんの「絵本出版・日本画画業30年記念 絵本原画展」が銀座教文館ナルニア国で1月29日から3月2日まで開催予定。2月2日にはギャラリートーク・サイン会・朗読会が行われる。また、丸善丸の内本店で3月12日から18日まで開催予定。15日、16日にはサイン会が行われる。(編集/武藤)