元プロ野球選手で、現在は評論家として活躍している吉井理人氏。同氏は毎週欠かさず馬券を買うほどの競馬好きで、先日、自身の「念願だった」というJRA(日本中央競馬会)の馬主免許も取得した。そんな競馬通の吉井氏に、12月22日(日)に行なわれるGI有馬記念の予想をしてもらった。

 いよいよ有馬記念(12月22日/中山・芝2500m)ですね。有馬記念は、競馬を始めた20数年前からほぼ毎年買っていて、マウンドではほとんど緊張しなかった自分でも、レースのスタートの瞬間はなぜか緊張してしまいます。

 そもそも競馬を始めたのは、近鉄バファローズに在籍していた1990年頃、先輩の新井宏昌さん(現・広島東洋カープ打撃コーチ)に競馬場に連れていってもらったのがきっかけでした。最初の頃はあまり細かいデータなどは気にせず、ひたすら勘で予想していました。それでも、気づいたときには毎週馬券を買っていましたね。アメリカ(1998年〜2002年までメジャーリーグでプレイ。メッツ、ロッキーズ、エクスポズに在籍)から戻ってきてからは、いろいろと分析して予想するようになりました。

 馬主自体は競馬にハマる前から興味があって、昔から漠然と「馬主は人生の目標のひとつ」と考えていました。馬主になれれば"一流の仲間入り"だ、と。それで今回、だめもとで申請したら、なんと受理していただけまして。自分ではまだ早いかと思ったのですが、馬主の仲間入りをさせていただくことになりました。

 今は、今年生まれたばかりの牝馬を1頭所有しています。デビューはまだ2年後なので、所属する厩舎などはまったく決まっていません。これから調整していくことになると思います。馬主になってからの変化としては、やはり血統を勉強するようになりましたね。今後は血統を馬券にも役立てたいところですが、どうでしょうか。今のところはまだ成果が出ていない状況です(笑)。

 ということで有馬記念ですが、僕は1991年と1997年のレースがとても印象に残っています。1991年はメジロマックイーンが断然の1番人気で、しかも騎手は「天才」と謳(うた)われた武豊騎手。そこで僕は、メジロマックイーンから人気薄に流してみました。これも、ほとんど勘でしたね。

 それで、流した人気薄の馬がダイユウサクとオースミシャダイだったんです。すると、ダイユウサクがまさかの大金星を挙げて、メジロマクイーンが2着。あれには本当にびっくりしましたけど、(馬連7600円の高配当が的中して)うれしかったですね。

 1997年は、ちょうど自分がFAを取得して、メジャーリーグのニューヨーク・メッツに行こうか、それとも巨人に移籍しようか悩んでいた年。そのときの有馬記念では、前からファンだった藤田伸二騎手が手綱をとるシルクジャスティスを買いました。

 シルクジャスティスの枠は、7枠。帽子の色はオレンジでした。メッツのチームカラーです。それで、「これでシルクジャスティスが勝ったら、メッツに行こう」と何となく考えていたら、本当にシルクジャスティスが優勝。アメリカ行きを後押ししてくれましたね。でも、巨人のチームカラーもオレンジだったんですよね。そのことは後から気づきました(笑)。

 さて、今年の有馬記念に話を移しましょう。馬券を考える上で、やはりオルフェーヴル(牡5歳)は外せないのではないでしょうか。実力的にはどう考えても一枚上ですから。個人的には、2011年の日本ダービー(東京・芝2400m)をオルフェーヴルが勝ったときに、「単勝オッズが3.0倍もつくならチャンス」と考えて当たった思い出もあるので、ぜひ有終の美を飾ってほしいものです。

 それと、やはり有馬記念は特別なレースですから、「夢」を買いたいですよね。そこで僕が気にしているのは、ナカヤマナイト(牡5歳)。人気のオルフェーヴルやゴールドシップ(牡4歳)に隠れがちですが、この馬も父はステイゴールドですよね。ステイゴールドの子は有馬記念をはじめ、中山競馬場の芝2500mが強いですから。面白い存在だと思います。

 僕が予想で重視する要素のひとつに「ローテーション」があります。サラブレッドは生き物だから、野球選手と同じでずっと絶好調というわけにはいきませんよね。となると、陣営にとって「狙い」のレースがあるはずなんです。そしてナカヤマナイトの狙いは、今回の有馬記念だと思うんですよね。前2戦は東京競馬場でしたが、この馬の得意コースは中山競馬場ですから。柴田善臣騎手が、「この秋になって馬がよくなった」とコメントしていたのもプラス材料ですね。ですので、オルフェーヴルとナカヤマナイトの2頭軸でいこうと思います。

 相手としては、やはりゴールドシップは無視できません。今回コンビを組むムーア騎手は、この秋GIで素晴らしい結果を残していますから(ジャパンカップをジェンティルドンナで、朝日杯FSをアジアエクスプレスで勝利)。僕は素人なので詳しくわかりませんが、ムーア騎手の追い方は、上半身こそ激しいアクションでも、下半身は安定しているんですよね。あれは凄いと思います。彼ならゴールドシップを復活させることもあるのではないでしょうか。

 ヴェルデグリーン(牡5歳)も相手に入れたいです。この馬は、何といっても前々走のオールカマー(9月22日/中山・芝2200m)を勝ったときに、僕が単勝(配当3800円)を買っていたので。やはり一度的中させてくれた馬には愛着が湧きます。オールカマーと同じ中山競馬場ですし、一発があってもおかくしないはずです。

 それ以外では、こちらも引退戦のエイシンフラッシュ(牡6歳)まで押さえておきます。鞍上のデムーロ騎手は大舞台に強いですし、前走のジャパンカップ(10着。11月24日/東京・芝2400m)は押し出されて逃げる形で競馬にならなかったですから。こちらも、陣営にとっては有馬記念が「勝負レース」ではないでしょうか。

 ということで、有馬記念はオルフェーヴル、ナカヤマナイトの2頭を軸に、ゴールドシップ、ヴェルデグリーン、エイシンフラッシュの3頭へ。3連単2頭軸マルチ(※)で勝負します。

※3連単は1、2、3着の馬を着順どおりに的中させるもの。マルチというのは、軸馬と他に選んだ馬の着順を入れ替えた組み合わせも同時に購入できる投票方法。

 最近は馬券が当たったり、当たらなかったりで、正直なところ自分の予想スタイルも迷っている最中です。そんな私の予想ですが、少しでも何かの参考になればうれしいです。

河合力●文 text by Kawai Chikara