内角打ちと伝統の堅守で佼成学園がベスト16! 

4番北竜馬(佼成学園)

 都立雪谷、国士舘と強豪を打ち破ってきた朋優学院とブロック予選で東亜学園、東京実を破ってきた佼成学園の対決だ。朋優学園の快進撃となったのはエース石井 大己(2年)。179センチ66キロと細身な体型。テークバックが小さく取り、一気に腕を降り出すリズミカルな投球フォームから回転の良い直球に加え、タイミングがとりづらく、打ち難い投手という印象を受けた。スピードは130キロには満たないように見えたが、打ち難いコースへ内外角へストライク先行で投げられる投手なので、多くの打者が苦しんだのではないだろうか。その石井に対し、佼成学園の藤田監督は選手たちに内角を打つ指示を出した。「もう外に決まる直球、チェンジアップは捨てて、見逃し三振になってもいい。それよりも内よりの球を狙えと指示しました」左投手が右打者へ投げる内角直球はクロスファイヤーとなり、打ち難い球になる。ただ体の近くへ来る球なので、しっかりと振りきることができれば、外寄りの球よりも強い打球を打ち返せる。

石井に対して突破口を切り開いたのは4番北 竜馬(2年)だ。まず第1打席、外角への直球だった。コースではなく、ストレートに的を絞っていた北は高めの直球を振り抜き、右中間を破る三塁打。そして5番野元 洋希(2年)の左前適時打で1点を先制。4回裏、一死二塁から。北が今度は内角へ決まる直球を振り抜き、左フェンス直撃の二塁打。

それにしても北の内角を打つ技術は素晴らしい。1年から主軸を打っていた選手で、その時から注目していたが、パワー、技術ともにレベルアップしている。石井対策で、内角打つ練習を重ねたことが、彼をさらに大きくさせているようだ。

さらに5番野元のバント安打で一死一、三塁。野元は牽制死で二死三塁となったが、6番江黒 駿平(2年)の適時打で3対0とする。佼成学園の先発は小玉 和樹(1年)。166センチ69キロと投手として小柄だが、中々筋が良い投手だ。セットポジションから始動し、左足を真っ直ぐ上げて、軸足は真っ直ぐ立たせる。左足をショート方向へ送り込んでいきながら、前足をうまく送り込んで着地。左肩を上げて、体を斜めに向けさせる形になっており、開きが抑えられたフォームになり、テークバックは大きく取って、縦で鋭く振れる投球フォーム。

球速的なものは130キロ前後だが、スライダー、縦スライダーをうまく使い分けて5回無失点。佼成学園は小柄な投手が主力になるが、その中でも筋の良さはかなり良い投手だと思う。しっかりと体づくりさせていけば、いずれは美馬 学(東北楽天)のような制球力のよい速球派に成長出来る可能性は秘めている。

 

石井大己(朋優学院)

 5回終わって、3対0で佼成学園がリード。だが6回表、朋優学院が反撃に出る。7番柳井田 健一(2年)が左三塁打を放つ。二死となったが、1番塚原 也真人(2年)の左超え二塁打で、1点を返すと、2番松本 晃希(1年)も左超え三塁打を放ち、1点差へ。さらに3番嶺井 翔太(2年)の左前安打で3対3の同点に追いつく。なおも4番石井、5番石山太朗(2年)の連続安打で満塁になったが、勝ち越しならず。佼成学園の先発・小玉が粘り強く抑えた。

7回裏、佼成学園は二死二塁から1番宮本 恵太(2年)の三ゴロを弾く。二塁走者が三塁を回ったところオーバーラン。それを見て三塁へ投げたが、送球がそれてしまい、二塁走者が生還し、佼成学園が勝ち越しを決めた。

小玉は9回表、一死三塁のピンチを招くが、7番柳井田健を二ゴロに打ち取り、本塁タッチアウトになり、二死一塁から代打・小沢 啓朗(2年)はセンターへ抜けそうな当たりを打つが、「捕れると思って飛びつきました」と北が横っ飛びで捕球し、二塁封殺でアウト。北のファインプレーで佼成学園が曲者・朋優学院を下し、ベスト16入りを決めた。試合後、藤田監督は「よく守ったと思います。そういう意味で流れを渡さなかったのは大きかったと思います」とこの日、無失策の守備陣を評価した。佼成学園の選手たちは実に球際に強い。だが牽制ミスなどが目立ったことについては「やはり一ヶ月以上、試合が空いたからか、試合の流れ、走塁のタイミングなどが鈍ってしまいましたね。投球、打撃はなんとかなるのですが、これは試合が空くと起こりやすいものです」次の日体荏原戦へ向けて気持ちを引き締めた。佼成学園はブロック予選から東亜学園、東京実と強豪と当たり、いずれも勝ち抜いてきたが、その勝ち抜いたのはここぞで乱れない堅実な守備と狙い球をしっかりと打ち崩す打撃だろう。次の試合ではさらに内容のある野球を見せるか注目である。

(文=河嶋 宗一)