凱旋門賞で期待の日本馬2頭が惜敗(惨敗?)。「日本馬は結局、世界にはかなわない‥‥」という空気も漂い、世間的には多少盛り上がりが欠けた状況でのGIシリーズ突入である。でも、ホントにそう?

 ところで、秋〜年末のGIシリーズで有名なレースといえば、日本版「世界一決定戦」と銘打つ東京競馬場のジャパンカップと、年末の恒例行事、通称「日本一決定戦」と言われる中山競馬場の有馬記念だろう。

 五輪の金メダルこそ最強、野球は日本シリーズこそ頂上決戦‥‥そんなメリハリのきいた信念で観戦するスポーツファンで競馬をよく知らない人は、ここで確実に頭がこんがらがる。では、そのどっちを勝てば「日本最強馬」なの? と。

 もちろん、両レースとも勝てば文句なく「日本最強馬」なのだが、じつはそれを達成した馬はそう多くはない(いちばん最近でも06年のディープインパクトまで遡る)。つまり、長年馬券を買い続けている大半の競馬ファンにとって「どの馬が日本最強か」はたいした問題ではないのである。

 血統評論家・亀谷敬正氏も今回の凱旋門賞についてこう語っている。

「凱旋門賞が行われるロンシャン芝と、ジャパンカップが行われる東京芝では、同じ2400メートルでも要求される才能は真逆といってもいいぐらい異なります。どちらかしか勝ってない馬を最強とは呼べない」

 まさにそこなのだ。テニスでいえば、仏オープンを行う「クレーコート」では最強を譲らないナダル選手が、ウィンブルドンの「芝コート」ではころっと負けることがある。だからといってテニス人気が落ちることはない。もしも「凱旋門賞で日本最強馬をせっかく応援したのに負けてガッカリ」ということで、今秋の競馬の盛り上がりが欠けるとしたら、競馬ファンとしてはじつに迷惑な話である。

 亀谷氏も言う。

「日本馬のレベルは世界最高水準。その中で、ジャパンカップは“東京”最強馬、有馬記念は“中山”最強馬を決める価値あるレースなんです」

 ちなみに、有馬記念では昨年の「中山最強馬」ゴールドシップが凱旋門賞帰りのオルフェーヴルを迎え撃つ、その前のジャパンカップでは、昨年の「東京最強馬」ジェンティルドンナと凱旋門賞帰りのキズナの激突が実現するかもしれない。

 海外での称号も悪くはないが、そればかりをやたらと有難がる日本人の悪い癖は競馬にだけは出さず、ぜひこのGIシーズンを盛り上げてもらいたいもの。だって世の中のほとんどの人は、馬券が当たったらアベノミクスより儲かるんですから(笑)。