安倍晋三政権が、通常国会で廃案になった生活保護改悪関連2法案を、15日開会の臨時国会に再提出し早期に成立させることを狙っています。2法案が廃案に追い込まれたのは、国民の暮らしを守る“最後の安全網”の生活保護の根幹を崩す法案のとんでもない中身が明らかになり、国民の怒りと批判が急速に広がったためです。にもかかわらず2法案強行にあくまで固執する安倍政権の姿勢は、まさに国民無視です。再提出はきっぱり断念すべきです。

“寄せ付けない”を加速

 安倍政権が再提出を狙う生活保護法改悪案と生活困窮者自立支援法案は、現行生活保護法が1950年に制定されて以降初の生活保護制度の大改定となるものです。

 本来、生活保護は日本国憲法25条にもとづき全ての国民に生存権を保障するための制度です。ところが2法案は憲法の理念に真っ向から逆らい、生活困窮に陥った人たちを生活保護から締め出す仕組みをいくつも盛り込みました。

 生活保護法改悪案は、失業などで収入を断たれ生活が立ち行かなくなった人が福祉事務所に救いを求めても、生活保護の申請すらさせない“水際作戦”を合法化する条文を新設しました。現在は口頭の申請でも受け付けているのに、改定案は文書申請と給与明細、預金通帳などの提出を義務付けることなどを大原則にしたのです。

 夫の暴力から着のみ着のままで逃れた女性などは申請すらできなくなる改悪案に、日弁連や生活困窮者支援団体などからきびしい批判が集中しています。自公民などは先の国会で「特別の事情」があれば文書がなくても申請を受け付ける一部の修正を加えましたが、何の歯止めにもなりません。

 改悪案が親族扶養を事実上義務づけたことは、「子どもに迷惑をかけたくない」と申請をためらう生活困窮者を続発させるだけです。

 暮らしが成り立たなくなった人たちに「就労」を強く求める生活困窮者自立支援法案は、保護が必要な人を生活保護に“寄せ付けない”役割を果たす危険が明らかです。家賃などの限られた補助しか受けられず「働け」と迫られても、「自立」などできません。

 生活困窮者には、なにはさておき「健康で文化的な生活」を保障するため生活保護の利用を最優先にする仕組みを堅持すべきです。

 安倍政権が8月から実施した生活保護費の過去最大の引き下げは、「アベノミクス」などによる生活必需品の値上げラッシュと重なり受給世帯に深刻な打撃を与えています。「いまでも1日2食なのに、まだ削れというのか」と全国の受給者が続々と不服審査請求に立ち上がり、その数1万件以上という史上空前の規模に広がっています。安倍政権は国民の声を聞き、生活保護制度破壊の暴走をやめるべきです。

暮らし支える政治へ

 2法案は通常国会で審議されたものの採決にいたらず最終盤で廃案になったものです。ひとたび廃案された法案を無反省に持ち出すことに一片の道理もありません。

 国民の暮らしをそっちのけで大企業の「成長」「競争力」ばかり応援する政治では未来はありません。憲法にもとづく社会保障の再生・強化こそ急ぐべきです。国民の暮らしの基盤を支え応援する政治に転換することが重要です。