超能力青春映画『クロニクル』大ヒット拡大公開決定!
監督:ジョシュ・トランク、脚本・原案:マックス・ランディス/出演:デイン・デハーン、アレックス・ラッセル、マイケル・B・ジョーダンほか/配給: 20世紀フォックス映画

写真拡大

キターーーーー実写版『AKIRA』ですよ、これは、完全に。パーフェクト!
大ノックアウト!
ジョシュ・トランク監督『クロニクル』だ。
首都圏30館の2週間限定公開にもかかわらずヒット。
興行収入5位入りで、10月12日よりTOHOシネマズ 梅田、109シネマズ名古屋、TOHOシネマズ天神で拡大公開。
新宿シネマカリテで続映も決定、って2週間限定じゃなかったのかーーーい、いや、許す。
傑作ですから!
観終わっての帰り道、あらゆるものを超能力でなぎ倒すポーズを取りながら歩く。やばいやばい、完全にアンドリューの気分だ。

主人公アンドリューくんは、友達もいない、文系ぼんくら男子。
ビデオカメラを買って、ずっと撮影して、いとこからも「おまえそんなんでバリアつくってんじゃねーよ」とか言われちゃう。
「すごいもんがあるから撮ってくれよ」ってついて行くと、穴があって、もぐって、ビッカーン。
アンドリュー、超能力を手にい入れる。
って、ストーリーを紹介しても、本作のおもしろさは100分の1も伝わらない。
観てくれ。
正直、2週間限定公開で1000円って安くしてるし、センスはいいけど、もうひとつ盛り上がらない(予算が足りなさそう)ってタイプかな、予告編にあるクルマをなぎ払うシーンが一番カネかかってるシーンだろうな、って思っていた。
間違っておりました。
いや、たしかにJ.J.エイブラムス映画のような「最初の10分で2億ぐらい(映画の神様が溺れてる)ドブに捨てたな!」って放蕩な豪華さはないよ、ありません。
CG技術の進化によってありとあらゆる幻想が実写化できる時代に、ぐるりと反転して、YOUTUBEにアップされてそうなパーソナルな映像のリアリティをひっさげて、あれよあれよとパワーアップしていくセンスと説得力のある迫力だからだ。
アンドリューの持ってるビデオカメラ映像を中心に、監視カメラ映像や、警察の映像などを編集されたファウンド・フッテージ形式。なんだけど、カメラの揺れも少なく観にくくない。
それどころか、アンドリューくんは、超能力でビデオカメラを宙に浮かべて、いい感じの角度から撮影してるってのもいい。
低空撮影的な視点が気持ちよく、画がいちいちカッコイイのだ。しびれる。
主人公アンドリュー役のデイン・デハーンが、またカッコイイ、超イケメンなのに眼がヤバイ。

超能力を得ても、超能力大戦争にすぐにはならないところも楽しい。
スカートめくったり、女の子の人形を浮かべて驚かせたり。
いたずら大好きやりたいほうだい。ゲラゲラ笑いながら、超能力を使う。
このあたりのシーン、YOUTUBEかニコ動にシレっとアップすればすげー話題になって宣伝になるだろうに!
自分自身を持ち上げれば、空中浮遊できると教えられて試みるシーンがあるのだが、まず足元の小石がぐぐぐぐぐと自分のほうにすり寄って、ふわっ。っていう、そういった細部の描写がいい。
超能力のパワーに囚われエスカレーションしていくテンポいい展開にノセられて、あっという間に後半の超能力対戦。自分が巻き込まれるような気持ちだ。大迫力。
病院の白い服で浮遊するアンドリュー、ビルの崩れ方、バーッと腕でなぎ払う迫力、ぐぐと手を握りしめるのに同期してぐしゃぐしゃに潰れるクルマ、見ているこちらの身体が反応してしまう超能力描写の連続。
「さんをつけろよデコ助野郎!」ってアンドリューが叫んでる声が聞こえたのは俺の超能力のせいだろうが、これは『AKIRA』と『明日に向って撃て!』のハイブリッド。
いや『童夢』か。ハイパーリンク時代の『童夢』だ。
ひとつひとつのシーンが新鮮で発見に満ちている。
今年、もっとも大好きな映画だ。映画撮りたくなるよね、こんなの観ると。

エキサイトレビューには、すでに、tk_zombieによる超能力があってもリア充にはなれない。文化系ぼっち超能力大戦「クロニクル」ってレビューも出てるけど、大傑作だから書きました。いや、もう30本ぐらいレビューをあげるべきだと思います。とみさわ昭仁さん、たまごまごさん、次、よろしくねー!(米光一成)