オトコの娘萌えとは一体なんなのか、それを説明するのはあまりにも難しい! 『オトコの娘ラヴァーズ!!』は悩めるオトコの娘好き少年を通じて、オトコの娘のなんたるかについて詳細に描いたマンガ。オトコの娘好きはもちろん、オトコの娘ってなに?という人にこそ読んでもらいたい作品。

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こんにちは。ロリコンかつオトコの娘好きのたまごまごです。
「オトコの娘」という語も大分定着してきました。
一応説明すると、大雑把に言って「女装少年」のことです。大雑把に言うと。
で、ここからが難しい。
女装少年とオトコの娘は意味が異なるのか? 性転換とオトコの娘は何が違うのか。
違うこともあるし、同じ扱いのこともある。極めて説明しづらい。
繊細すぎて誤解をまねきやすいのが「オトコの娘」ジャンルのネックです。

「オトコの娘好きって、つまりホモなんでしょ?」
勘違いしがちなのはわかるけど必ずしもそうではないよ。
「つまり女装したいの?」
ちょっと違う、興味はあるけどそれとオトコの娘萌えは違う。
「ようするにオカマなんでしょ」
違う違う、そうじゃ、そうじゃない。
「女性嫌悪から生まれる男性のホモソーシャル世界におけるうんたらかんたら」
えーい黙れ!

100人いれば100通りのオトコの娘萌え像がある。
「オトコの娘」の語が有名になるほど、説明するのが厄介なんです。

『オトコの娘ラヴァーズ!!』は、オトコの娘好きの人にはもちろん、オトコの娘萌えって結局なんなんだ?と疑問に思っている人にオススメしたい一冊。
主人公は「オトコの娘」好きの高校一年生の男子。いたって健全な男子です。
高1でオトコの娘好きって不健全に見えるかもしれません。それは本人が一番わかっています。
でも彼は好きであるがゆえに、「オトコの娘」のいいところを非常に真剣に考え、誤解されることに苦悩しています。

まず、オトコの娘は少女よりもかわいくなるのがいい。
言うなれば、女形のようなもの。
自ら女装するタイプのキャラクターは「女の子のようにかわいくなりたい」意志が強いため、必要以上に「女性」を強調します。そこがいい。
無理やり着せられている場合はその恥じらいが、女の子とはちょっと違った魅力を醸し出します。実にいい。
それでいて、同性だから男性との距離が近く、感覚も近い。
完璧超人です。

「オトコの娘はかわいいもの」というハードルをくぐり抜けた先に、さらなるややこしい問題が生じます。
女装しているかわいいオトコの娘を愛でたいという人。
可愛く女装を自分がしたい人。
男の子がかわいいのが好きな人。
実はそれぞれ、全く噛み合いません。

一括りに「オトコの娘」という言葉で結びつけてしまった。だから「オトコの娘ってこうでしょ?」と迂闊にいってしまうと、地雷を踏みかねません。
「見るからに女の子みたいなオトコの娘がいい」という人もいれば、「少年体型だからこそ女装がちぐはぐでいい」という人もいます。
無理やり着せられているのがいいという人もいれば、自主的に女装しているのがいい、という人もいます。
細分化というよりは、「今まであった嗜好を一つにまとまってしまった」が正しいでしょう。
めんどくさいけど譲れない感覚。これを丁寧に解説しています。
TS(トランスセクシュアル・性転換のこと)との違いもきちんと説明されています。

最大の問題である「女装を自分たちがすることのリスク」と「オトコの娘萌えは誤解を招きやすい」という二点のリアルなところをきちんと描いています。
体型を維持して女の子に近づこうと頑張っても、女装していたら変態扱いされる。
オトコの娘萌えはいいものだとわかっていても、家族や親戚には言えない。
ああ、悲しきかな悩ましきかな。オトコの娘萌えは基本、マイノリティな趣味であるがゆえ。
オトコの娘好きをネタにされて笑われた時、顔で笑っていても心で泣いていたこともありましたともさ。

大げさには描かれていますが、「オトコの娘」がらみの問題についてひと通り書かれており、ゼロから理解するにもよい本です。
ご家族、友達、恋人がオトコの娘にハマって悩んでいる方にオススメします。
いない?あ、そう。
オトコの娘好きをカミングアウト出来ず悩んでいる人には、最高の処方箋ですので是非読んでください。

あ、ぼくですか。
ぼくは無理やり着せられていて恥じらいがあるオトコの娘が好きですね。
でも性転換も大好きなんだ。全ては『らんま1/2』が原因だ。
じゃあオトコの方がいいってことかって? いや、少女は大大好きだよ!
理解されなくてもいい。ただ、たまに……自分でもわからなくなって叫びながら雨の中を駆けまわりたくなるだけさ。
……生まれ変わったらかわいいオトコの娘になりたい。


吉田悟郎 『オトコの娘ラヴァーズ!!』

(たまごまご)