『純潔のマリア』(3)石川雅之/講談社

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今週は石川雅之『純潔のマリア』3巻が発売されます。

序盤はタイトルの通り、処女で男を知らない(のに)魔女マリアと、彼女が駆使するサキュバスによる、戦争ぶっ潰しコメディでした。
処女でチンコ見たことないから、インキュバスが作れないマリアちゃんかわいい。

ところが途中から、彼女がなぜ戦争をぶっ潰すのかの理由が見えてきます。物語は人間の歴史と宗教そのものを問う内容に。
イギリスとフランスの長すぎる戦争。損をしているのは罪のない村人達ばかり。
マリアは平民達が困っているのを見捨てられず、ある程度魔女としての力を持っているから、見えるところから片っ端から助けていた。善意でした。
「あたしが見たくないってだけで戦争やいさかいを止めたとしても、皆がそうすりゃ世界はよくなるもん」

すっごくマリアの言っていることは、正しく見えます。それはまあ、こちらが人間だから。助けてくれる存在が悪いわけがない。
そこに現れる、大天使ミカエル。
お前は全ての人を救えるのか?できないだろう?ならば手を貸すことは、人間達の生き方を乱すだけだ。
天上の教会は、地上を見守るのが役割。手は出さないのがこの世の理。
ミカエルに「処女を失うと魔力が奪われる」という封印をされてしまいます。

それでも、ささやかな人間達の祈りの手紙を拾っては、あちこち奔走して少しでも助けようとする、人間が大好きな魔女、マリア。
マリアを理に背くものとして監視し、断罪する立場に立たされている、ミカエルとその使いエゼキエル。
果たして、地上の人に偽善かもしれないけど自分の力を貸してあげて、少しでも救うのが正しいのか。
それとも、人間の争いに宗教的な存在は、手を貸すべきではないのか。
この難問に、3巻で決着がつきます。
限定版ではその後のマリアの物語が、イギリス側・フランス側から見て描かれたという体裁の絵本もつきます。

その他今週発売のコミックス。
『これは恋のはなし』9、『彗星継父プロキオン』2、『侵略!イカ娘』15、『実は私は』3、『弱虫ペダル』30、『籠女の邑』3、『ヒル』5、『シャーマンキングFLOWERS』4、『ハレルヤオーバードライブ!』10、『木造迷宮』10、『ねこむすめ道草日記』10、『女子高生Girls−Live』4、『きんぱつへきがん関西版』2、『巴マミの平凡な日常』1など。

(たまごまご)