二人でならできるんじゃないかな! アニメの後もう一回、まどかと一緒にやり直せばうまくいくかもしれないと頑張るほむらを描いた、『魔法少女まどか☆マギカ ほむらリベンジ!』。映画の前に復習も兼ねて、キュゥべえの酷さを楽しみましょう。

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映画『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』が、10月26日から公開になります。
今回は完全新作。
もう物語的にはかっちり終わったように思える作品なので、どうなるのか全く予想が出来なくて気になって仕方がない、さやか派のぼくです。
でも、コミックス『魔法少女まどか☆マギカ ほむらリベンジ!』で一番好きなシーンは、唐突にまどかが腹に突っ込んできて、マミさんが「ドゥフぇっ!」って言うシーンです。
まどか……加減を知らない子!

『魔法少女まどか☆マギカ』は、暁美ほむらの持つ能力、時間の巻き戻しによって、何度もループする物語です。
最悪の状態である「まどかの魔女化」や「ワルプルギスの夜による破壊」を防ぐため、幾度もほむらは孤独にループし、戦い続けてきました。
しかし何度やってもうまくいかない、それどころかループすることでまどかに因果を溜めてしまった。
このやりきれなさとキュゥべえの冷淡な感覚が興味深い作品なのですが、「もしここでもう一回、まどかを連れて戻ったらどうなるだろう?」というのがこのマンガ。

ああそっか、まどかを連れて帰れば、毎回やり直して説明する必要ないし、誤解も招かない。イイネ!
ところがキュゥべえも着いてきてしまった。果たしてリベンジなるか?

「もう一回」となると、気になるのはマミさん・さやか・杏子の三人です。
アニメ版ではこの3人は哀しい末路を迎え、まどかとほむらはそれを見てきました。ほむらは何度も見てきたけど、まどかは最初。
となれば、まどかの力もあれば救えるかもしれない!

序盤はコミカルに進みます。
特に作者、マミさんがお気に入りなのか、描き方がキュートです。
紅茶を飲みながら「しゃなりーん」とドヤ顔をするマミさん、かわいい。
会話下手なほむらがついマミさんを煽ってしまって、プルプル震えるマミさん、かわいい。
まどかのセリフも面白い。
「ダメだよほむらちゃん!マミさんはわたしたちの前では頼れる先輩でいたいんだから!! これ以上マミさんの自尊心を傷つけないで!」
まどか、意外と毒舌です。かわいい。

しかし、今までの流れ全てを知っているキュゥべえがいる、というのが曲者。
中盤から、キュゥべえの行動によって流れが悪化します。
悪化というか、まあキュゥべえ的には「みんなが魔法少女になってくれたほうがいい」という単純な行動原理に従って動いていますので、当然といえば当然。
キュゥべえの正体を、読者も、まどかとほむらも知っているだけに、露骨な行動を取るキュゥべえの邪悪さたるや、アニメ版より酷い。
特にさやかは、ほむらに対しての嫌悪がアニメ版より強烈になっています。キュゥべえが悪いというか、運が悪いというか。どうしてそうなっちゃうんだろうというか。
うまくいかないねえ。

まだ一巻では、何も「リベンジ」できていません。
現時点ではほむらが必死に奔走しては、逆効果でさらに悪くなるの繰り返し。アニメ版のルートと似ているようなそうでもないような、スレスレのところでハンドルを振り切れていないので、非常にモヤモヤします。
そのモヤモヤはもちろん、ほむらの感情そのもの。
こんなん繰り返してたら発狂しますね。

まどかは初めての時間遡行なので、まだ戸惑っていますが、ショッキングな出来事に対しては慣れてきている様子。
今回はインキュベーターの仕組みも知っていますし、色々頑張ろうとしているんですが、いかんせん生身の人間。何かをできる、というほど手を出せません。
「リベンジ」するなら、まどかが今後どのような行動を取るかがポイントになるでしょう。
少なくとも、杏子とさやかの喧嘩でソウルジェムぶん投げたりしないでしょうし……ん?そもそも喧嘩のシーンまでいくのか?
それ以前に、さやかの心情はアニメ版と違うわけで……杏子と出会ったらどうなるの?

ほむらの苦しみ、まどかの戸惑いと決意が今後楽しみな作品ですが、ぶっちゃけキュゥべえがどうやってさらに酷いことするかが一番楽しみだったりします。
だってあいつ、全然ブレないんだぜ。
加えて、あのアニメ版のラストじゃないと救われない魔法少女もいるんじゃないの?という疑問もあります。
どう着地するのかと、キュゥべえってやっぱおっかねえなあとブルブルしながら、映画に備えましょう。


枡狐/蛙空 『魔法少女まどか☆マギカ ほむらリベンジ!』

(たまごまご)