肺出血騒動を乗り越えて「世界一」へのリベンジに挑む日本最強馬と、日本最強騎手を配するダービー馬の激突が秒読みとなった。本番を前にそろって前哨戦を勝利したことで、対決ムードは盛り上がる一方。世紀の一戦「凱旋門賞」を楽しさ100倍返しで観戦するための「因縁」の舞台裏にゲートイン!

 フランス、ロンシャン競馬場。競馬界の一大イベント、第92回・凱旋門賞(GI・芝2400メートル・10月6日)を前に、同じコース、同じ距離で行われたのが「ニエル賞」「フォワ賞」(いずれもGII・9月15日)だった。前者には天才・武豊(44)を配したダービー馬キズナ(牡3歳)が、後者にはスミヨン(32)騎乗の日本最強馬オルフェーヴル(牡5歳)が挑み、両馬ともにV。この前哨戦で弾みをつけ、本番に向けて調整を進めている。

 キズナは震災復興の象徴的な馬名もさることながら、日本ダービーを8年ぶりに武が制したことで大フィーバーが巻き起こった。片やオルフェーヴルは、規格外の能力を持ちながら、たびたび暴走、逸走してきた問題児。肺出血を起こし、一時は競走馬生命も懸念される事態に陥ったがみごと回復。昨年2着に敗れたリベンジに燃えているのだ。

 ついに日本馬が世界の頂点に立つのでは、との予感が先走る中、凱旋門賞を占ううえでの判断材料が前哨戦での走りっぷりである。

 ニエル賞におけるキズナの勝ちタイムは2分37秒64。英ダービー馬ルーラーオブザワールドとの叩き合いの末、写真判定での勝利だった。

 一方、フォワ賞のオルフェーヴルは直線で軽く手綱をしごかれると一気に加速。一度もムチを入れないまま、2着馬に3馬身差をつけての圧勝で、勝ちタイムは2分41秒47である。早くから現地入りし、取材する競馬ライターの平松さとし氏が結果を分析する。

「時計自体はフォワ賞が遅いわけですが、最初の1600メートルが1分41秒68なんですよ。対するニエル賞は1分34秒、ヴェルメイユ賞(同日行われた牝馬GIで、同じく芝2400メートル。凱旋門賞に出走するトレヴが優勝した)が1分35秒61。つまり前半のペースがフォワ賞だけ、抜けて遅いんです。が、逆に言えば、この遅いフォワ賞で折り合えたオルフェーヴルが前半、引っ掛からなかったという意味では、価値がある走りができていると思います。後半の上がり3ハロン(600メートル)は、ニエル賞が37秒19、ヴェルメイユ賞は35秒59、そしてフォワ賞は35秒38でした。前半が遅い分、後半に速くなるのは当然ですが、その後半5ハロンを見ると、フォワ賞だけ59秒台なんですね。ニエル賞は63秒37、ヴェルメイユ賞が61秒21なのにです」

◆アサヒ芸能10/1発売(10/10号)より