『サザエさんと日本を旅しよう!』(扶桑社)
これまでにサザエさんが訪れた47都道府県の旅を大公開。日本中のおいしいもの、名所の数々、四季折々の見所がサザエさんの旅を通じてぜ~んぶまるわかり!

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旅人、と聞いて誰を連想しますか?
映画「男はつらいよ」の寅さんだったり、「裸の大将」の山下清。うっかり中田英寿を連想した人もいるでしょうか。
でも、そんなさすらいの男たち以上に旅を続ける女性がいたことをすっかり忘れていました。

「サザエでございま〜す!」
フグ田サザエ24歳。このおなじみのフレーズで始まるアニメ「サザエさん」のオープニングで、サザエさんはもう40年近く日本中を旅し続けていたのです。
今回紹介する『サザエさんと日本を旅しよう!』は、これまでにサザエさんが訪れた47都道府県の旅を振り返ることで、日本のことをよりよく知ろう!という一冊になります。

日曜日の18時30分、「サザエさん」のオープニングが流れると憂鬱になってしまう現象「サザエさんシンドローム」。
これ、「もう休みも終わりか」という月曜日が近づいてくることへのプレッシャーで生じる現象と言われていますが、実はオープニングでサザエさんが呑気に旅している姿も影響していたのか?と勘ぐりたくなるとほど、サザエさんは全国を飛び回っています(気球で)。

1974年(昭和49年)1月から約40年。これまでに制作されたオープニングの数は全部で150超。
本書は、そんなザザエさんのオープニングの歴史を知ることができる一冊であり、
全国の地名や特産・名産を知ることができる地理の教科書でもあり、
旅の計画にも役立ちそうな旅行ガイドブックにもなっている万能仕様。
漢字には全てルビが振られ、お子さまでも楽しく日本全国のおいしいもの、名所の数々、四季折々の見どころがわかるようになっています。

その姿勢はとにかくストイック。
例えば、現在サザエさんが旅している福島県には「さざえ堂」というお堂があります。
サザエさんと同じ名称……これは何かいじりたくなるところですが、その解説では
「飯盛山にたつ六角三層のお堂は、二重らせん構造になっていて、上りと下りの通朗が分かれている、めずらしいつくりなのよ」と、ただただお堂の構造の説明に終始。とにかくストイックに、無駄話なく土地・場所・スポットの説明に文字数を費やすサザエさん。

でもそれじゃあ、純粋な「サザエさんファン」は楽しめないか、というと然にあらず。
合間に挿入される7つのスペシャルコラムは、かなり貴重な「サザエさん史」。伊達に『アニメ「サザエさん」放送45周年記念ブック』は名乗っておりません。

オープニングで最初に訪れた県は? なぜ旅をするようになった? といった秘密を明かす「サザエさんのオープニングの歴史」。
制作スタッフの取材の様子や絵コンテも交えて明かされる「サザエさんのオープニングのつくり方」。
サザエさんの一人旅であるオープニングとはまた違う、本編における「サザエさん一家の旅行の思い出」。
果物から飛び出るサザエ、カツオ、ワカメ、タラ。そしてタマの腰振りダンスが印象的な「オープニングのラストシーン集」 etc.

特に注目が「オープニングのラストシーン集」。果物以外のいろんなものから飛び出す様子や、昔はタラちゃんはいなかったという事実も発覚。そして変わらぬタマの艶かしい腰振り。

夏の旅の計画のお供に、そしてサザエさんファンであればバイブルとして、ご家庭に一冊いかがでしょうか?

(オグマナオト)