話題の候補作のひとつ。『想像ラジオ』いとうせいこう/河出書房新社

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いよいよ本日、7月17日は第149回芥川・直木賞が決定します。未読の方でもわかるよう、30 秒でわかる予想も書いてみた!。ちなみに、直木賞編はこちら。

■「砂漠ダンス」山下澄人(2回目。初出:「文藝」2013年夏号)
3次元+時間の4次元から3次元を見たような実験小説。定食を食べる自分を別の位相にいる自分が観察する場面など、叙述ルールが独特で評価が分かれそう。本命度は★★☆。

■「すっぽん心中」戌井昭人(4回目。初出:「新潮」2013年1月号)
西日暮里〜土浦間を舞台にした常磐線小説。ムチウチ男とお水系就職志願の女とがすっぽん漁をするのです。笑える場面満載なんだけど選考委員には好かれないかも? ★★。


■「すなまわり」鶴川健吉(初。初出:「文学界」2013年6月号)
実に珍しい行司教養小説。力士の尻や、かかとに出来るひびの描写など細部が素晴らしく、行司の世界にも「かわいがり」があったことなど知らなかった情報が満載です。★★★。

■『想像ラジオ』いとうせいこう(初。初出:「文藝」2013年春号)
作者16年ぶりの小説は、樹の上からラジオ番組を配信する男の物語。想像力が現実を補完し、人々の思いがクラウドとなってあなたの背後に控える世界。初候補だけに★★★☆。

■「爪と目」藤野可織(2回目。初出:「新潮」2013年4月号)
不倫相手の妻が急死し、麻衣はその後釜として家に入る。まるで動物のように他人や文化に関心のないヒロインのキャラクターが特筆ものでホラーの味もあり。本命度★★★★。

あなたの予想はどうでしょうか。決定は今夜。お楽しみに。

もっとくわしいレビューはこちら。

(杉江松恋)

※受賞作発表後、下北沢B&Bにてイベント開催を緊急決定!
詳しくは下記を。

杉江松恋×豊崎由美×大森望
[予想が当たればドリンク無料!]
第149回芥川賞・直木賞の選考結果を受けて喧々囂々の会