サッカー日本代表に初選出された豊田陽平(サガン鳥栖) /撮影:フォート・キシモト

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7月15日、東アジアカップに臨む日本代表のメンバーが発表された。

23人中7人、DF千葉和彦(広島)、MF高萩洋次郎(広島)、山口螢、扇原貴宏(ともにC大阪)、FW豊田陽平(鳥栖)、柿谷曜一朗(C大阪)、齋藤学(横浜FM)が新顔。過去、何度か招集の噂にのぼった豊田、高萩、柿谷なども今回は招集された。

「チーム内で競争が激しくなれば、より成長が促せると思っています」

その言葉を裏付けるように招集されたのが豊田だ。

「豊田は所属しているチームでは良くやっている。彼の特長はエリア内の強さと空中戦。そういった意味では我々のストロングポイントではないわけで、そこを相手は突いてくるので、今回どこまでできるか観て見ようと思っています」

これまではハーフナー・マイクという選択肢しか持たなかった立場に、対抗馬をぶつけてきたのだ。もっとも、ザッケローニ監督はこれまでの代表を大きく崩そうとは思っていないようだ。

「できる限り多くの選手を試してみたいとは思っていますが、それと同時にチームはパーソナリティ、バランスを持っていなければいけないとも思っています。それが崩れると普段できるところもできなくなるので、そこも吟味したいと思います」

どうやら、これまでのチームの一員となったとき、輪を乱さないかどうかも考慮されそうだ。だが、このメンバーで勝てるのか。

FW7人のうち、国際Aマッチに出場経験があるのは原口元気(浦和)だけ。MF6人でも高橋秀人(FC東京)が5試合に出場しているのみで、MFとFWを合わせた13人に国際Aマッチでのゴールの経験はない。DFでは75キャップの駒野友一(磐田)だけが突出しているが、続く栗原勇蔵(横浜FM)でも17試合と経験が不足しているのは間違いない。

もっとも、これもここまでメンバーをほぼ固定してきたザッケローニ・ジャパンのツケが露呈したとも言えるだろう。過去、招集されたにも拘わらず、出場機会が与えられなかったのは、林卓人(仙台)、森重真人(FC東京)、鈴木大輔(柏)、青山敏弘(広島)、柴崎岳(鹿島)、山田大記(磐田)、工藤壮人(柏)、大迫勇也(鹿島)と8人にも上るのだ。

東アジアカップで日本はまだ優勝経験がない。原博実強化委員長は「優勝を目指す」と冒頭で語った。しかし、ザッケローニ監督は優勝が命題だとは思っていない。

「常に結果を求めなければならない。だが、東アジアカップはワールドカップへの準備で、勝ちにこだわって代表クラスのメンバーを見つけられないのがいいのか、結果が着いてこなくても数人の代表クラスのメンバーを見つけたほうがいいのかと問われたら、後者を選択します」

確かに短期間であること、初招集のメンバーが多いこと、国際経験が少ないことを考えると優勝は難しいだろう。だが選手は監督が大会で使用すると公言した[4-2-3-1]のシステムに自分をしっかり当てはめてアピールする場にしなければならない。

もう1つ、今回忘れてならないのは、ザッケローニ監督の采配に対する評価である。もし負けたとしても、試合の流れを変えることができたか、交代策は妥当だったかなど、最近の采配の中で疑問符が付いている部分を監督は払拭しなければならないだろう。そして、もしこのメンバーで優勝すれば、それは監督の手腕によるものが大きい。監督にとっても評価が分かれることになる大会なのだ。


【東アジア杯日本代表・メンバー23名】※初選出
■GK
 林卓人(仙台)、西川周作(広島)、権田修一(FC東京)

■DF
駒野友一(磐田)、栗原勇蔵(横浜M)、※千葉和彦(広島)、森脇良太(浦和)、槙野智章(浦和)、森重真人(FC東京)、鈴木大輔(柏)

■MF
青山敏弘(広島)、※高萩洋次郎(広島)、高橋秀人(FC東京)、※山口蛍(C大阪)、※扇原貴宏(C大阪)、柴崎岳(鹿島)

■FW
豊田陽平(鳥栖)、山田大記(磐田)、※柿谷曜一朗(C大阪)、※齋藤学(横浜M)、工藤壮人(柏)、大迫勇也(鹿島)、原口元気(浦和)