はじめに

 少々間が空いてしまいましたが,今回は前々回の分析の続きとしてペドロ・フェリシアーノ選手のデータを見ていきたいと思います。

 前回見たデータは,奪三振・与四球・被本塁打の生起頻度を見たわけですが,今回は内野フライライナーの生起頻度を見たいと思います。

 この2つのデータに注目した理由ですが,内野フライは,この記事にもあるように第4の“守備力の影響を受けない指標”として扱われるようになっているからです。

 ここからは私の仮説ですが,内野フライを狙って打つようなケースはまず無いので,これを打ち損じの指標と考えても良いのではないかと思います。一方,ライナーを選んだ理由は,打ち損じの打球がライナーになる確率は低いので,内野フライとは逆にボールをしっかりミートした指標として捉えることが出来るのではないかと考えたからです。

 これらの指標の生起頻度が,シーズン内で登板回数が蓄積していく中でどのように変化するかを見ていくことで,奪三振・与四球・被本塁打以外にも選手のコンディションの変化を見ることは出来ないだろうかというのが今回のテーマになります。

 試験的な試みですが,どうなるかはお楽しみということでお付き合いください。


分析データ

 分析に使用したデータは,2002年から2012年までにMLBで登板したリリーフ投手1515名の年間成績と,2006年から2010年までのペドロ・フェリシアーノ選手の個人成績です。データはFANGRAPHSを参照しています。

 改めて,ペドロ・フェリシアーノ選手ですが,2008年から2010年にかけてメッツで3年連続80試合超の登板を記録しています。これは,2000年以降のMLBのリリーフ投手の中でもかなりのハイペースといえる成績です。おそらくこれが原因ですが,2011年にヤンキースへと移籍しましたが,そこで肩痛を再発させ,2011・2012年の2年間は登板記録が無い投手です。


ライナーと内野フライのデータ

 ライナーと内野フライのデータについては,FANGRAPHSにライナー率(LD%)と内野フライ率(IFFB%)があります。しかし,これらのデータは,

 LD%:ゴロ・フライ・ライナーの打球数に占めるライナーの割合

 IFFB%:フライに占める内野フライの割合

 と,ライナーと内野フライの多さを必ずしも示すものではありません。そこで今回は,以下のようなデータも計算し,同じように分析したいと思います。

 LD/9 = ライナー数÷ 投球回 × 9

 IFFB/9 = 内野フライ数 ÷ 投球回 × 9


リリーフ投手の中でのペドロ・フェリシアーノ選手の位置づけ

 まずは,年間成績のデータよりLD%,IFFB%,LD/9,IFFB/9の基礎統計値を以下の表1に示します。

表1

 データを見ていく上での参考にしてください。

 次に,2006年から2010年までのペドロ・フェリシアーノ選手の各成績を以下の表2に示します。

表2

 偏差値は,表1のデータより計算したものです。全体の中でどのくらいに位置づけられるかの参考にしてみてください。

 これに加えて,LD%,IFFB%のデータをまとめたものを以下の図1-1に示します。

図1-1



 図中の赤い◆がペドロ・フェリシアーノ選手の成績です。全体の中でどの辺りにいるのかを視覚的に確認してもらえればと思います。

 次に,LD/9,IFFB/9のデータをまとめたものを以下の図1-2に示します。

図1-2

 全体のデータからペドロ・フェリシアーノ選手のデータを見ると,ライナーは平均前後で,内野フライは少なめであることがわかります。


シーズン内におけるライナーと内野フライの生起頻度の変化

 以上は年間成績のデータで,ここからはシーズン内のデータを試合ごとに見ていきます。2008年から2010年のペドロ・フェリシアーノ選手のLD/9の推移のデータを以下の図2-1に示します。

図2-1

 試合ごとのライナーと内野フライのデータは,FANGRAPHSのペドロ・フェリシアーノ選手の個人のページの,「Play Log」を参照しています。

 右に行くほどシーズンが進み,上に行くほどライナーの生起頻度が高いことを示しています。LD/9のデータは,前後3試合のデータを合わせた7試合分の値となっています。

 2010年の終盤にはむしろライナーは少なくなっていることがわかります。しかし,前々回のデータを見ると,この時期は与四球が増えているのでその影響かもしれません。

 続いて,IFFB/9のデータを以下の図2-2に示します。

図2-2

 毎年終盤は内野フライを取る傾向にありますが,年々その傾向が低下していることがわかります。これが選手の異常を示すものかどうかわかりませんが,一応注目しておいて良いデータだと思います。


まとめ

 現段階では「ライナーと内野フライの生起頻度が選手のコンディションの評価に使えないだろうか?」という仮説の段階なので,他の選手でも同様のデータを蓄積していくことが今後は必要となります。

 というわけで,残念ながら今回のデータがどんな意味を持つかについて結論は出せませんが,奪三振・与四球・被本塁打以外にも注目できるデータがあるのは良いことではないかと思います。



おわりに

 以上,ライナーと内野フライのデータは使えないだろうかという試みでした。他にも1球ごとの球速のデータなどもあると良いかもしれませんね。

 酷使に伴う異常が,全ての選手で同じように表れるものではありません。したがって,異常を評価するためのチャンネルは多いに越したことは無いと思います。何か他にも使えそうなデータがあればご意見いただければと思います。


引用文献

 ・Infield Flies, FIP, and WAR, by Dave Cameron - March 6, 2013